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11/03/2022
ブラジルの航空機大手エンブラエルは、開発中の垂直離着陸可能な電動小型航空機〔イーブイトール(eVTOL)〕による短距離フライトの運航開始に向けて飛行ルートの検証や市場調査をするため、11月8日からリオ・デ・ジャネイロ市で30日間の飛行ルートの実証実験を開始した。実験開始を予告していた同社の10月26日付プレスリリースによると、今回の飛行ルートの実証実験は、中南米最大手のヘリコプターオペレーターであるエリスールが提供し、垂直離発着では同じ機能を持つヘリコプターを使用した。エリスール社は2026年に完成する予定のeVTOLを購入する予定になっている。
実証実験のルートは、リオ市内のビジネス施設(CEMHS)からアントニオ・カルロス・ジョビン国際空港間の往復となる(片道15分程度)。エリスールの公式サイトによると、料金は時間帯によって変動するものの、片道料金はおおむね99.99~599.99レアル(約2,100~1万2,600円、1レアル=約21円)の範囲内に収まるとしている。また、当地で小型航空機事業を運営するフラッパーのポール・マリッキ最高経営責任者(CEO)は10月26日付の現地紙「エスタード」へのインタビューで、「この実験ルートをヘリコプターで運航した場合、(片道)料金は数十倍の3,050~8,300レアルになる」と述べ(注)、eVTOLの実用可能性に期待を寄せた。なお、同社もエンブラエル製eVTOLを購入予定だと伝えられている。
また、エンブラエルのグループ会社で、eVTOLを開発しているイブ・アーバン・エア・ソリューションズ(EVE)は6月以降、国内外から発注が相次いでおり(2021年8月26日記事参照)、9月以降も新たに4つのパートナーシップを発表している(添付資料表参照)。
ほかにも、大手航空会社アズールがドイツのスタートアップ企業リリウムが開発中のeVTOLを220機購入する予定となっていることや(2021年8月16日記事参照)、ブラジルの大手航空会社ゴルが9月23日に、中国の海航集団などの傘下でアイルランドに本社を置く航空機リース会社のアボロンが開発しているeVTOLを250機発注する意思表明書を発表するなど、エンブラエルのほかにもブラジルにeVTOLの導入を計画する動きがある。アズールとゴルについては、それぞれ運航は2025年までに開始予定としている。
(注)マリッキCEOによると、「ヘリコプターの飛行では一般的に1時間単位で料金を計算することになっており、帰路に乗客を乗せないケースもあるため、高額になりやすい」という。また、eVTOLの運用では帰路に乗客を乗せることも想定しており、ニーズによって金額が変動するとしている(10月26日付現地紙「エスタード」)。
(エルナニ・オダ)