2週間で2度の休園 先の見えない子育てと仕事【Web記者コラム】|あなたの静岡新聞

2週間で2度の休園 先の見えない子育てと仕事【Web記者コラム】|あなたの静岡新聞

未来戦略チーム 鈴木美晴

 感染者数の過去最多を連日更新する新型コロナ。こども園が休園になるなど、猛威は身近に迫っている。実際に我が子の通うこども園が休園になり、仕事と子育ての両立にぶつかる記者が直近の生活を振り返った。

2週間で2度の休園 先の見えない子育てと仕事【Web記者コラム】|あなたの静岡新聞

 2月初旬のある日の昼。スマホに着信があった。画面には、我が子たちの通うこども園の名前。「また来た」。新型コロナ関連の急ぎの連絡だと直感し、電話を取る。園職員から「お母さん、ごめんなさいね。園の関係者にコロナが出たので、すぐにお迎えに来てください」と伝えられた。この園では1月下旬にも感染者が発生し、下の子が登園自粛となったばかりだった。 電話を切って一呼吸。前回の経験から、我が子が濃厚接触者に該当するか特定されるまでに1日以上はかかるはずだと推測。「とにかく早く子ども達を迎えに行かなくては」「うちの子が濃厚接触者か分からない段階では仕事に支障が出る。早く職場に連絡しなければ」「夫にも状況を伝えなくては」…。いろいろな問題が頭をぐるぐる巡る中、子どもたちを迎えに行った。当然のことながら感染者が誰なのかは園からは教えてもらえない。我が子にどれだけの感染可能性があるのか全く分からない。急きょ給食が中止になり空腹で機嫌の悪い子どもをなだめつつ、冷蔵庫にストックしてあった総菜とお茶漬けを出して食べさせた。 感染力の強さが指摘されている新型コロナ・オミクロン株。感染した人を責める気持ちは全くない。いつ自分がその立場になるか分からない。保育士をはじめこども園の職員の方々にも感謝でいっぱいだ。各家庭に連絡したり、体温を毎日確認したり、行事の中止変更をしたり…。ただでさえ多忙な上に、コロナ関連の追加の仕事にも対応してくださっている。「保育士さんが体調を崩されないと良いな」と心配しつつ、食事を終えて、早くも床一面におもちゃを広げ始めた子ども2人に目を移し、ため息が出た。「これからどうしよう」 上司に状況を報告したところ、我が子が濃厚接触者に該当するか分かるまでの期間の在宅勤務を指示された。夫の会社も同じ判断だったようで、間もなく夫も帰宅した。お互い在宅勤務なのだから、とにかくまずはこの日を乗り切ろうとのことで合意。子どもに邪魔されない書斎は、緊急の仕事に追われていた夫に譲った。 私もこの日は午後に外せないオンライン会議が入っていた。しかし、やんちゃな5歳児とイヤイヤ期の2歳児。2人きりにしておくわけにはいかない。仕方なく、子どもの走り回るリビングで、スマホにイヤホンを差してオンライン会議に参加した。子どもはスマホ画面に映る会議の画面に興味津々。「押していい?」「これだーれ」と膝に乗ってくる。会議の内容が全く頭に入らない。子ども向け動画をテレビで流し、何とか会議をしのいだ。子どもの動画視聴時間が長くなってしまい、心配だが背に腹は代えられない。 原稿を仕上げて、次の取材の下調べをして…。この後の仕事を考えているうちに、動画に飽きた子ども達から「あそぼー」「おなかすいた」と要求が矢継ぎ早に飛んでくる。「ママ、今お仕事だからあっちで遊んでてね」と何度言っただろうか。最後は根負けし、相手をした。その日終わらせられなかった仕事は子どもが寝た後と、翌日起きる前に片付けた。こんな生活が続いたら、体が持たない。 1月下旬の登園自粛の際は偶然、私の休日と自粛日が重なった。我が子は濃厚接触者に該当せず、登園自粛もすぐに解除されたため仕事への影響はなかった。しかし今回は父母ともに出勤日の昼。濃厚接触者に該当しなかったとしても、判明するまで数日は夫婦とも出社できない。 元気いっぱいとはいえ、新型コロナ禍で我が子の世話を祖父母に育児を頼むことはためらわれる。ましてや濃厚接触者かも不明な段階では頼めない。子育て支援サービスも同様だ。念のため、子育て支援サービスに問い合わせたがやはり「コロナによる休校、休園の場合は原則として家庭で面倒を看ていただくようお願いしている」とのことだった。 ただでさえ時短勤務で周りのサポートを受けて仕事をしているのに、コロナで出社できないことでさらに職場のメンバーに迷惑をかけてしまった。全員にサポートへのお礼の連絡をしつつ、オミクロン株が収束の気配を見せず、今後の子育てと仕事の見通しが立たないことにまたため息が出た。「仕事がまったく進まない」「子どもの体力があり余ってやばい」。ママ友とLINEで慰め合うことしかできなかった。 ※この記事はWeb限定掲載のコラムです。

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