Oura Ring 3があればApple Watch要らない? 何ができて何ができないか

Oura Ring 3があればApple Watch要らない? 何ができて何ができないか

比べるもんじゃない! けどやっぱり考えちゃいます。

睡眠トラッキングに定評あるスマートリング、Ouraから第3弾となるOura Ring 3 が発売されました。今までのOura Ringは睡眠の質のトラッキングのために心拍数を測る、というスタンスでしたが、Oura Ring 3は睡眠時だけでなく四六時中心拍数をトラッキングするようになりました。今後のアップデートで運動中の心拍数も計測できるようになり、睡眠だけでなく運動も含めたトータルなトラッキングデバイスに進化していこうとしています。

そんな触れ込みを見て、前々からApple Watchを外見的に好きになりきれずにいた私は、Oura Ring 3に乗り換えてもいいんじゃ?と考えました。もちろんOura Ring 3には画面がないので、iPhoneからの通知を見たりはできないんですが、でも運動記録はOuraでできそうだし、通知とかiPhone連携ってステイホームな生活でそんなに大事なのか、という疑問もあるわけです。

そこで思い切ってOura Ring 3を買って試してみました。Oura Ring 3はApple Watchの代わりになるんでしょうか?

Oura Ring 3でできること

まずOura Ring 3で何ができるのか整理します。Oura Ring 3は心拍数や呼吸数、体温などを指で測定し、それを元に「睡眠」「アクティビティ」「コンディション」というスコアを算出、アプリで表示します。それぞれのスコアやその根拠を見ることで、「一駅歩こう」とか「疲れ気味だから休もう」といった判断がしやすくなります。

まとめたスコアだけでなく、浅い睡眠の時間・深い睡眠の時間といった細かい分析や、消費カロリーのような一般的な指標も確認できます。体温も「体表温の変化」という形でトラッキングするので、女性の場合月経予測が使えます。それから運動中の心拍数や睡眠中の血中酸素濃度といったデータも2022年のアップデートで追加予定です。あと私はあんまり使ってませんが、瞑想とか呼吸のセッションがアプリに入ってます。Webサイトは一部日本語非対応ですが、アプリはちゃんと日本語対応してます。

お値段は色によって違い、シルバーとブラックが299ドル(約3万4000円)、ステルス(マットブラック)とゴールドが399ドル(約4万5000円)です。日本から買う場合、受け取るときに関税の支払いが必要になりますが、それでも輸入代行業者等から買うよりは直接Webサイトで買うほうが安いみたいです。また機能をフルに使うには月6.99ドル(約800円)のサブスクリプション契約が必要ですが、買ってから半年間は無料になります。

圧倒的に合わせやすいデザイン

Oura Ring 3は少し太めのユニセックスなデザインで、色も4色あるので、自分のスタイルに合わせて普通のリング感覚で着けられます。見とれるほど美しいってものでもないですが、少なくとも他のスマートウォッチやフィットネストラッカーに比べて着るものを選ばず、フェミニン系の服に合わせてもまったく問題ありません。男性の場合、指輪そのものに抵抗ある人もいるかもしれませんが、ブラックとかステルスあたりの色ならアクセサリー感控えめでいいかもしれません。

個人的には、Apple Watchを着けるようになってから、服もそうなんですが指輪とかブレスレットがイマイチ合わないのが課題でした。でもApple WatchをやめてOura Ring 3だけにすれば、たいていのアクセサリーと合わせられそうです。

また着け心地という意味でも、Oura Ringは購入時点でサイジングキットが送られてきて、しっかり(理想は丸1日)試着したうえでサイズを決定、その後本体が送られてくるので、フィット感はすごくよいです。毎日充電する必要もないので、ずっとつけっぱなしにできます。

きめ細かい睡眠データと「コンディション」

Ouraはもともと睡眠トラッキング用デバイスなので、Apple Watchに比べると睡眠にすごく力が入ってます。こんな感じで、覚醒、レム睡眠、浅い眠り、深い眠りの4段階に分解され、時系列で可視化されます。

Oura Ring 3があればApple Watch要らない? 何ができて何ができないか

Apple Watchの場合、サードパーティには睡眠の細かい分析アプリがありますが、純正のヘルスケアアプリで確認できるのは睡眠時間の長さと、(細かい設定したうえで)睡眠中の呼吸数くらいです。

またOura Ring 3はバッテリーが4〜7日持つのでつけっぱなしにできます。寝るときに着けたいので、パソコンに向かってて動かないときに充電してます。

それに対しApple Watchはバッテリーがほぼ1日しか持たないので、夜寝る頃には切れかかってることが多いです。Apple Watch Series 7には高速充電機能が追加されて、「45分で0%から80%になる」らしいんですが、たとえば寝る直前に充電切れてることに気がついた場合、トラッキングのために寝る時間遅らせるっていうのも、うーん。

それから「コンディション」はOura独特のもので、睡眠時の最低心拍数とか体温、前日の運動などなどを総合した指標です。単に直近だけじゃなく、過去14日間とか2ヵ月間とかの傾向も加味して出してるそうです。自分の体調って自分自身わかってるとは思いますが、毎日「今日は82点で良好です」とか「今日は69点だから休息しましょう」とか言ってもらえると、優秀な執事がいるような感じでちょっと気分がいいです。

カロリー検知結果はわりと違う

Apple Watchユーザーとしては、Oura Ring 3に変えたときに出てくる消費カロリーがどう変わるのかが気になるところです。ただ現在のOura Ring 3は運動時の心拍数を正確に測れないと言ってるので、2022年のアップデートまでは消費カロリーの正確さも期待すべきじゃないのかもしれません。実際Apple WatchとOura Ring 3一緒に着けて運動してみた結果、出てくる数字はけっこう違いました。ちなみにApple Watchでは基礎代謝以外の消費カロリーを「アクティブキロカロリー」として表示しますが、Oura Ring 3にも「アクティブカロリー消費」という同様の指標があり、ここではそれらを比較しています。

たとえば25分のウォーキングでは、Oura Ring 3では62kcal、Apple Watchでは32kcal。40分のジョギングでは、Oura Ring 3が305kcal、Apple Watchが140kcalでした。この傾向は運動の種類とか体格とかで違うと思いますが、この他にも自分がちょこちょこテストした感じでは、Oura Ring 3のほうが消費量多めに出る印象でした。Apple Watchのおかげで日々の消費カロリーノルマを意識する習慣ができた人には、Oura Ring 3にすると目標達成が急に楽になって、ノルマの再設定が必要になるかもしれません。

ノルマといえば、目標設定の考え方もApple Watch(厳密に言うとwatch OS・iOSのフィットネスアプリ)とOura Ring 3では大きく違う部分です。Apple Watchでは1日あたりの運動による消費カロリーを「ゴール」として設定することになっていて、たとえば私の場合、運動習慣のない頃は1日350kcalくらいだったんですが、今はだいたい毎日運動してるので、1日550kcalくらいに設定してます。でもOura Ring 3では、目標値が年齢や性別に基づいて固定されてて、それが私の場合は300kcalとけっこう生ぬるい数字です。

さらにApple Watchの場合、たとえば目標値の2倍運動するとバッジをくれたりして煽ってくるんですが、Oura Ring 3にはそういうアゲアゲ感がなく、むしろ場合によっては休息を勧めてくるので、運動好きな人には少し寂しいかもしれません。

またOura Ring 3では、Apple Watchみたいにウォーキングなどの運動をすると自動検知してくれるのはいいんですが、自動検知する運動の種類は20種類程度です。なので検知されない場合、事後に手動で運動記録を入れる必要があります。たとえば私の水中フィットネス(というか、子どもをプールに連れていき、遊びながスキを見て泳ぐ)は自動検知されなかったので、手動入力しました。記録の仕方は、運動の種類(50種類くらいから選択)・開始時間・継続時間・強度を自分で選ぶ形で、それを完了すると消費カロリーの推定値が出てきます。

ただ、2022年予定のアップデートで運動時の心拍数を測れるようになる、と言ってるので、今後数字の出方は変わってきそうです。またどっちにしてもこの手のフィットネストラッカーで出てくる消費カロリーはそこまで正確じゃないと言われているので、あくまで傾向を見るだけにとどめるのが正しい使い方かもしれません。

傾向を見る上では、トラッキングデバイスが増えることで見え方がどうなるか心配かもしれません。が、そこはiOSのヘルスケアアプリがちゃんと管理してくれてます。ヘルスケアアプリの「アクティブエネルギー>データソースとアクセス」を開くと、データソースとなるアプリやデバイスの優先順位を付ける部分があります。なので複数のデバイスでトラッキングしていても、ヘルスケアアプリや他のフィットネス管理アプリでの表示がおかしくなったりはしないはずです。たとえば「通常はApple Watchでトラッキングして、たまにApple Watchを外してOura Ring 3だけ使う」みたいなことをする場合、Apple Watchのデータが抜けてる部分だけOura Ring 3のデータで補完、という動作になっています。

Oura Ring 3でできないこと

ここまでOura Ring 3にできることとかApple Watchとの違いを書いてきましたが、Apple Watchにしかできないことももちろんたくさんあります。というか、Apple Watchアプリは無数にあるので、Apple Watchにしかできないことのほうが圧倒的にあります。iPhoneからの通知とか通話の連携なんてOura Ring 3にはもちろんできません。Apple PayもSiriも使えないし、SpotifyとかYouTubeの操作もできません。

というかApple Watchみたいに画面があるわけじゃないので、もっとベーシックなタイマーやアラーム、時計機能もOura Ring 3にはありません。とにかく、心拍数や体温やその変化といったデータを収集し、コンディションやアクティビティといったスコアを分析し、アプリで可視化する、それがOura Ring 3です。

で、結局乗り換えられる?

そんなわけで、Apple WatchからOura Ring 3に乗り換えるとしたら一番大きいハードルは、iPhoneと連携する機能が使えないってことだと思います。ただ、私自身はこの記事を書くためにApple WatchとOura Ring 3を同時に使ったり、Oura Ring 3だけにしたりを代わる代わるしてましたが、Apple WatchがなくてもiPhoneがあれば通知も天気も時計も見られるので、その点じつはそんなに不便ありませんでした。Apple Watchをいつも着けてると通知が手首で見られる分、iPhoneを時々チェックする習慣がなくなるので、Apple Watchを外してるときは意識してスマホチェックする必要がありましたが、負担はそれくらいです。でも仕事とか生活のスタイルによっては、Apple Watchロスはもっと大きいかもしれません。

なので個人的には、もうApple WatchやめてOura Ring 3でもいいかなっていう思いもあるんですが、そこでふと沸き上がるのは、そもそもカロリー消費とか睡眠の質ってそこまでトラッキングしたいんだっけ?というミもフタもない疑問です。Apple Watchの場合、上にも書いたような「なくても生きていけるけどあると便利」的機能に、「そこまで必要かわからないが多分体によさそう」な健康トラッキングがセットになってるので、60点+60点が120点になったような感じで満足できるんですが、Oura Ring 3は健康トラッキングに特化した、75点くらいな感じです。運動中のトラッキング精度が上がったら85点くらいになるかも。

しかも私はもうOura Ring 3買っちゃったし、Apple Watchの便利さも捨てがたいので、落としどころは「両方着けて、小洒落たいときだけApple Watchを外す」になりそうです。でも今Apple Watchを使っていてOura Ring 3を買うかどうか迷ってる人は、新たに買ってまで四六時中健康トラッキングしたいかどうか自問したほうがいいんじゃないでしょうか。毎月のサブスクリプションもかかるし。ただ私としては、服装的に合わないと思ったらApple Watchを外してもいい、と思えるようになって歓喜です。って言うほど大した服着てなくて毎日ジャージにダウンパーカーなんですが、2ヵ月に1回くらいの小洒落たいタイミングでは不本意な部分がないほうがいいし、それでも今までチェックしてきた指標は取っておきたいなっていう、まあいろいろと自己満足です。

でも今Apple Watchやスマートウォッチを持ってなくて、Apple WatchとOura Ring 3どっちを買おうか迷ってる人は、やっぱり違うものなので別に考えたほうがいい、とは思います。ただApple Watch Series 7を買おうとしてて、でも見た目的にどうかなって人がいたら、Series 7じゃなくApple Watch SEにして、浮いたお金にちょっとプラスしてOura Ring 3買っちゃうっていう選択肢も考えます。こんな風だから貯金ができないんですけどね。