一世紀前に沈んだエンデュアランス号を探したい。調査隊が南極に向けて出発(ギズモード・ジャパン) - Yahoo!ニュース

一世紀前に沈んだエンデュアランス号を探したい。調査隊が南極に向けて出発(ギズモード・ジャパン) - Yahoo!ニュース

配信

11コメント11件

一世紀前に沈んだエンデュアランス号を探したい。調査隊が南極に向けて出発

100年以上前、イギリス人の探検家アーネスト・シャクルトン率いる探検隊は、南極大陸の初横断を目指しました。しかし、行く手を浮氷に阻まれ、探検隊の船「エンデュアランス号」は沈没してしまったのでした。【全画像をみる】一世紀前に沈んだエンデュアランス号を探したい。調査隊が南極に向けて出発そして先週末、海の底に沈んだエンデュアランス号を見つけ出そうと、探検隊「Endurance22」が南極に向けて出発。これまで大勢が取り組むも失敗に終わっていた船の捜索に、新たな探検隊が挑みます。

一世紀前に沈んだエンデュアランス号を探したい。調査隊が南極に向けて出発(ギズモード・ジャパン) - Yahoo!ニュース

過去にも探索は行われたがいずれも失敗

海洋考古学の歴史に貢献するためケープタウンから出航したのは、極地調査と物資の補給を行う南アフリカの船「Agulhas II」。同船にはロボット潜水機2台、砕氷ドリル、ヘリコプターなどの機材が積載され、エンデュアランス号の発見を願うEndurance22チームのメンバー65名が乗船しています。Agulhas IIが目指すのは、1915年に3本マストの帆船が難破して乗組員28名が生き残るための過酷な旅を開始したウェッデル海のまさにその地点です。Endurance22の公式サイトに記載されている文言によれば、「最新の極めて重要な海中データを明らかにすることで、この遠征はエンデュアランス号とウェッデル海の海氷についての理解を深め、その知識を沈没船の保護に役立てたい」とのこと。エンデュアランス号が発見されれば、海洋考古学における長年の懸案事項を解決できることに加えて、1914年の終わりに南極大陸へと出航した船と帝国南極横断探検隊の両方を異なる観点から見直せるかもしれません。沈没した船を探す計画はこれまでいくつか企てられ、直近だと2019年にありましたが、どれも成功には至りませんでした。

多くの学者や専門家が参加

エンデュアランス号探検隊の主な目的は、ウェッデル海から南極点を経由してロス海へと歩いて南極大陸を初横断することでした。しかし、エンデュアランス号は1915年の初めに密度の高い叢氷の中でどうしようもないほど身動きが取れなくなったため、探検隊はそこまで進めなかったのです。乗組員28名は船を捨てて、浮氷の上に簡素なキャンプを設置するほかありませんでした。やがて船は押し潰され、1915年11月21日に海底へと沈んでいきました。乗組員たちは1916年4月まで氷上を漂い、最終的にはエレファント島に到着。シャクルトンを含む数名が救援を求めるため、危険を冒して救命艇でサウス・ジョージア島に行き、1916年9月に乗組員全員が救出されました。エンデュアランス号が沈没した運命の日に、フランク・ワースリー船長は六分儀を使って、その正確な場所を南緯68°39'30.0"と西経52°26'30.0"と記録していました。Endurance22のチームはこの座標に向かい、海底を8km×15kmの範囲で探査します。水深はおよそ3.5kmになるとか。この遠征を率いるのは地理学者のJohn Shears氏で、ほかにも海洋考古学者、エンジニア、専門技術者と海氷科学者らが参加しています。35日間かけて行われるエンデュアランス号の探査には、Saab(サーブ)社のSabertooth潜水機を2台使用。Sabertoothは調査船から160km離れた地点に到達でき、写真や動画に測量データを収集します。海氷があまりに手強くてAgulhas IIが沈没した地点へと進めなかったとしても、Sabertoothが難破船を調査してくれるはず。その場合は目的地までヘリコプターを飛ばして、そこで海までの穴をドリルで開けて潜水機を配備するそうです。探検隊の海中マネジャーNico Vincent氏は、「Sabertoothには長距離のサイドスキャンソナーが搭載されているので、地上にいる人間に海底の画像を提供してくれる。船の上や氷上キャンプのテントの中にいてもだ」とBBCに語っていました。「もしターゲットが潜水機の近くにいるようなら、私たちはスイッチを切り替えるだけで作業計画を中断させて、ターゲットの元にドローンのように飛ばして入念に確認できる」とのこと。エンデュアランス号の現在の状況は依然として不明です。船の一部は今も立ったままなのか、それともバラバラに崩壊しているのか…その中間の状態かもしれません。とにかく、船がついに発見されれば興味をそそる(そして鳥肌が立つような)光景となるでしょう。船には自転車やサンプルが詰まった瓶、ペンギンの腹の中にあった岩石などの品々が積まれていたとBBCは指摘しています。エンデュアランス号は歴史的に重要な船舶であって、南極条約で守られているので、発見されたとしても遺物は回収されません。その代わり、チームは難破船の詳細な3Dイメージを作成するそうです。Source: Endurance22, BBC

たもり

最終更新:ギズモード・ジャパン