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11/03/2022
──自然公園法改正のポイントや、その背景について教えてください。
小泉環境大臣:今回の改正のポイントは、間違いなく「自然の保護」が前提にありますが、保護だけではなく、それを前提にしつつ、利用をしっかりとやる。「保護と利用の両輪」を回していくのが最大のポイントになります。
コロナ禍の前はインバウンドの需要が相当高まっていました。コロナ禍の現在は、自分たちの身近にある全国34か所の国立公園、58か所の国定公園で自然と触れ合って欲しい。国民から愛される国立公園にしていきたいと考えています。
そういった思いで今回の自然公園法の改正を行います。ハード・ソフト両面の支援策、そしてあわせて保護の強化がポイントです。
保護の観点で一例として、知床の国立公園のヒグマにカメラマンが(撮影のために)接近する場合がありますが、これはカメラマンにとって危険なことはもちろん、ヒグマにとっても悲しい結末になりかねない行為です。餌付けを含め、人との接触によってヒグマの行動が変わってきてしまい、結果としてヒグマによる人への攻撃で、そのヒグマが殺処分になるということが起きています。これは動物にとっても本当に悲しいことです。
そこで、今回新たに餌付けの行為に対しても罰則を設ける法案になっています。人間と動物の共生を守り抜く決意です。
──先ほど「保護と利用の両輪」ということに触れられましたが、利用という面では、どのようなことを考えているのでしょうか?
小泉環境大臣:、国立公園の中に廃墟があります。バブルの時代に数多く建てられた温泉旅館やリゾートホテルなどです。残念ながら、今は使われていない建物が国立公園の景観を悪くしていることがあります。廃墟を撤去していくための後押しを行い、結果として国立公園の上質化につなげていくことを考えています。
また、コロナ禍で自然の中での体験アクティビティの需要が伸びています。令和2年度補正予算には、ワーケーションの支援事業を加えました。コロナ禍でワーケーションがすごい勢いで伸びています。ある民間企業の調査では、30代から50代の就業者のワーケーションの認知度は70%という結果が出ています。国立公園には全国で350のキャンプ場があります。
全国にあるキャンプ場で、利用料はなんと数百円程度のことが多いです。私が視察した福島県の磐梯朝日国立公園では、キャンプ場のところに施設の管理を行なっている場所があります。手ぶらでキャンプに来てもらって、キャンプができるような設備、貸し出し用テントなどもそろっています。
家族や友人同士など、クルマで来て、キャンプ場の中にクルマを止めて、キャンプ用品はそこで借りて、手軽に安価に利用できる環境もある。国立公園にはこうした自然体験ができる場所もあるので、そこを盛り上げていきます。
ソフト面での例えを挙げれば、自然体験アクティビティの促進の点では、市町村やガイド事業者等による協議会が自然体験活動促進計画を作成し、認定を受けた場合には、計画に記載された事業の実施には必要な許可を不要とするような法案にしています。
──それは、アクティビティなどソフト面を行ないたい方は自治体に相談すればよいということですか?
小泉環境大臣:自治体の中で一つの協議会のような場を作って、自然体験などを促進するための計画を作成してもらいます。この計画があれば、国立公園の中に一つ一つテントを立てていいですかというような、個々の手続きを不要とし、簡素化されます。
──では、そのようなことを行なう際に自治体と事業者で決めていって構わないということですか?
小泉環境大臣:これは環境大臣が認定します。その認定に基づくものであれば、今まで必要だった個別の手続きは不要になります。
──若干元に戻る話かもしませんが、手続きを簡素化しすぎると、開発をしすぎてしまう部分が気になるのですが?
小泉環境大臣:それに関しては、まず大前提は国立公園の自然を決して損なうことがないようにする。これが大前提です。法律上、自然保護に支障を与えないことを計画の認定要件としています。
例えば太陽光発電のためのメガソーラーパネルのような大規模な開発を、(今回の)手続きの中で簡素化していきます、ということではまったくありません。日本の国立公園を正確にご理解いただきたいのは、アメリカのヨセミテや、イエローストーンのように公園に門があり、その中には人は住んでいない、大自然の雄大な景観だけが広がっている場所ということにはなっていません。
日本の国立公園エリアには工場、旅館やホテルもあり、とにかく人間の生活が営まれているところに結果として国立公園の網かけがあるというのが、日本の国立公園の制度の成り立ちなんです。
例えば、今国立公園内にある住宅の屋根に太陽光パネルが敷かれ、自家消費型で地産地消のエネルギーが生まれていくことは、私は進めたいと思います。こういったことを排除するものではありません。ただ、公園内の自然に大きなダメージを与えるようなものまで手続きを簡素化して進めることは絶対にありません。