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11/03/2022
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3コメント3件開発中の人工視覚システム (ニデック提供)
【ここまで進んだ最新治療】目の網膜にある視細胞が、遺伝子の異常で徐々に機能しなくなる「網膜色素変性症」。暗い所で物が見えにくくなったり、視野が狭くなるような症状から始まり、進行とともに視力が低下していく。日常生活が困難になる社会的失明(以下、失明)の原因疾患として、緑内障に次いで多く、発症頻度は日本では4000~8000人に1人の割合とされている。長年時間をかけて進行し、中心視力が低下して失明に至る患者の年齢は多くの場合60歳以降だ。その網膜色素変性症によって失明した患者の視覚機能回復を目的に、産学連携で「人工網膜(人工視覚システム)」の開発が進められている。どのように視覚を回復させるのか。臨床研究を行った大阪大学大学院・生命機能研究科の不二門尚特任教授=顔写真=が説明する。「人工網膜は、脳と電子機器を直接または間接的につないで、情報の授受を行う技術(BMI)を応用しています。簡単に言えば、人工内耳と同じ仕組みです。患者さんの目の代わりにCCDカメラでとらえた映像を電気信号に変え、体内に埋め込んだ電極を介して神経節細胞に伝えることで、脳に視覚を再構築するのです」開発した人工網膜は、体外装置と体内装置で構成されている。体外装置は、眼鏡のフレームに取り付けた小型CCDカメラ、映像を信号に変えるIC(集積回路)、信号を発信する一次コイルなどからなる。体内装置は、信号を受ける二次コイル、網膜を刺激する信号を作るためのIC、その信号を発信する多極電極など。500円玉ほどの大きさの二次コイルは、耳の後ろ辺りの頭皮と頭蓋骨の間に埋め込み、体外の一次コイルと電磁石で接合できるようになっている。多極電極は白目の奥の網膜の近くに固定する。では、カメラでとらえた映像が患者にはどのように見えるのか。「埋め込んだ多極電極は、7個×7個の49個の電極が並んでいて、とらえた映像は電光掲示板のように白と黒で表されるので、輪郭しか認識することはできません。しかし、3人の患者さんに1年間の装着試験を行った結果、2人は視覚機能が改善し、『部屋のコーナーを見て歩いたり、洗濯物の片づけが上手にできるようになった』と大変喜んでいました。今後は、AI技術を応用して、『映像と音声の融合』を考えています」映像と音声の融合が完成すれば、たとえば撮影した文字を読み上げたり、商品の色を音で伝えたりするなど、映像と音声が補完し合い、より的確な情報が得られるわけだ。今後、共同開発を行っている眼科用医療機器メーカー「ニデック」(愛知県)による企業治験が始まる予定という。 (新井貴)
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