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11/03/2022
多くのプロスポーツクラブがSNSを活用し、新規ファンの開拓やビジネス創出に試行錯誤を重ねています。そんな中、若年層を中心に幅広い層でユーザー数が増加中のショートムービープラットフォーム「TikTok」も大きな可能性を秘めています。
B1リーグ所属・川崎ブレイブサンダースは2020年の10月にBリーグクラブで初めてTikTokと提携し、2021年11月には“クリエイティブパートナーシップ”を締結しました。
ブレイブサンダースが前のめりになってこのプラットフォームを強化していく理由、そして、そこから生まれる新たなビジネスについて株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース・事業戦略マーケティング部の藤掛直人氏と営業部の山崎陽平氏に話を聞きました。
[提供:TikTok Japan]
ーTikTokとのクリエイティブパートナーシップの締結を発表しました。これまでの取り組みとの違いはどこにあるのでしょうか?
藤掛昨シーズンまではどんな取り組みができるかを模索しながら、多岐にわたる施策を実施・検証し、結果的にフォロワーも増えました。その中で伸びしろも多く感じたので、より注力し様々な面でさらに効果を出したいなと。具体的な取り組みとして、プロスポーツクラブならではのオフライン施策を増加させています。会場のビジョンを使った施策をしたり、オリジナルシートへ招待するTikTok投稿キャンペーンをしたり。今まではTikTok上で完結する施策がメインだったのですが、今シーズンは特に会場に染み出して多方面でTikTokを活用しようとしています。
バスケを生で見たことがない方々に興味を持っていただくきっかけ作りを、これまでTikTokで一貫して狙ってきましたし、それは変わりません。しかし今後はファンの皆様に対して、バスケを様々な角度から楽しめるコンテンツの提供に挑戦できればと思っております。
ービジョンを使った施策、とは。藤掛試合が一時的に中断されるオフィシャルタイムアウトという時間を利用して、『#ひらめきTikTok』という企画を実施しています。会場中央の大きなビジョンで映像クイズを出題し、TikTok内にて回答していただくという企画です。これまで分離していた、アリーナとTikTokを繋ぐ一要素にできればと考えています。
ー営業視点で、コラボをしたことによる変化は感じられますか?山崎一年前(2019年末)にTikTokに初めて取り組んだ際は、登録者数がどれだけ伸びるかわかりませんでした。そんな中で生配信をはじめいろいろとご協力していただき、僕らもたくさん勉強させていただきました。その結果として1年間で数字部分での結果が出たので、僕らとしても自信になりました。次は、新たな収益モデルができればと思っています。お客さんを呼び込むツールとしては機能しているので、それとは別でスポンサーシップやECなどのマネタイズのモデルを確立したいですね。
ーお客さんが伸びた実感はありますか?藤掛これまでアプローチの難しかったティーン世代の集客に繋がっています。この世代で会場に初めて来た人の約40%が「TikTokを見て、チケットを購入した」と答えているんです。
ーYouTubeでは取れない層でもあるのでしょうか。藤掛YouTubeとTikTokで客層は明らかに違いますね。TikTokのほうがより若い層が多い感覚があります。特に、TikTokクリエイターとコラボする施策は若い世代に刺さりました。このようなデジタル施策の効果もあり、実際に20代以下のチケット購入者もかなり増えています。今はどのクラブも、コロナや入場制限の影響で全体のチケット購入者が減っている状況。その中で、20代以下のチケット購入者が実数として増え続けているのは珍しい事例かと思います。
山崎“若い子が増えている” 事実はスポンサー営業にもプラスに働きます。コロナ禍において新しいお客さんが増えるタイミングはなかなかない。そういう意味でも、TikTokを使った施策は良いPRになったなと。
ーどのスポーツクラブも新規層、若い層を獲得することに苦労していると思います。
藤掛TikTokはフォロワーの投稿に限らず、ユーザが興味を持ちそうな動画がおすすめという形で流れてきます。スワイプするだけで今までバスケに触れていなかった若い方の目に触れるチャンスがある。川崎ブレイブサンダースを知らない層に簡単にアプローチできるんです。新規の出会いが生まれやすいプラットフォームなのかなと。
クリエイターさんとコラボをすることで、そのファンの方々に川崎ブレイブサンダースを知っていただく機会をつくることにも積極的に取り組んでいます。また、せっかく初めて触れていただいた方々に楽しんでいただくためにも、プラットフォームによってコンテンツの内容も工夫しています。
YouTubeでは、長い尺で選手のファインプレー集を出しても、初めて見る方には飽きられてしまいます。そのため、挑戦系や検証系などのエンタメ要素の強い企画を動画にすることが多いです。TikTokも初めて見る方を重視していますが、短尺という特性を活かしてプレー映像で興味を持っていただくという方針をとっています。他方、TwitterやInstagramは既に川崎ブレイブサンダースをご存知の方向けにコンテンツ運用する、と意識的に使い分けています。
ーTikTokのフォロワーが9万人と、YouTubeのチャンネル登録者数を越えそうですよね。これだけあれば企業PR案件をとれるのでは、とも思います。山崎実際に企業様と連携して、新たなカメラの技術を使った取り組みもしています。会場にカメラを数10台おいて、ひとつのプレーを他角度から見られる動画を投稿しました。
実験に近いものですが、TikTokさんとの提携がなかったらこういった繋がりもなかったので、面白いなと思っています。
ーいまは様々なコンテンツで可処分時間を取り合っており、短尺で消費できるコンテンツに高い需要があるのかなと。
藤掛以前から明確にその流れは感じていました。なので、YouTubeに力を入れていた中、TikTokも合わせて注力しようという方針を立てたんです。面白いエンタメで溢れるこの時代、隙間時間を埋めるコンテンツが求められているかと。
ただ、長尺でないと伝えられない情報もあります。TikTokで認知して興味を持って深く知りたいと思った方には、他のプラットフォームへ遷移させることをイメージしています。例えば一定以上のクオリティのドキュメンタリーには20〜30分程度必要ですよね。のめり込んで見ることができれば、さらに好きになっていただける濃いコンテンツですが、ライトな層にいきなり押し付けても途中で飽きてしまいます。
短尺から興味を少しずつ持って、10分、20分の動画と進み、気付いたら30分のドキュメンタリーを見ている。そこで「あ、自分は川崎ブレイブサンダースが好きだな」と思っていただき、さらにリアルタイムに情報を追いに行く。そんなストーリーを重要視しており、各プラットフォームの役割をマッピングしています。だからこそ、そこに至る入り口として15秒で惹きつけるコンテンツが必要なんです。
ーTikTokをやる前はティーン層の認知を取るのは難しかったですか?藤掛YouTube内のおすすめや関連動画を経由して新規層はたくさん来てくださっています。「〇〇をやってみた」のようにバスケを知らない人でも楽しんでもらえる入り口要素のあるコンテンツを作り、それをきっかけに新しい方に知っていただく機会を作れています。ただ、この方法だとYouTubeに滞在している人としか接点が取れません。TikTokはYouTubeと利用者層が異なるので、これまでアプローチできなかった層と接点が持てていますね。
ー最後に、この先に取り組みたいことについて教えていただけますか?藤掛スポーツクラブがTikTokに取り組む以上、スポーツだからこそ届けられる価値、オンラインとオフラインで連携するからこそできる価値をTikTokさんと一緒に探していきたいですね。加えて売上面での成果にも挑戦していきたいです。
これまで川崎ブレイブサンダースのデジタル施策は、明確に集客効果があったという定量的結果が出ており、それは業界においてこれまでにない特筆すべき点です。「TikTokを活用することでスポーツクラブとしてこんなに良いことがありました」という成果や実績を多く作ることで、他のクラブも積極的に取り組んでいただけるようになると思っています。今後は集客効果だけでなく多様な売上効果を生み出すことで、周囲にポジティブな影響をもたらし、スポーツ界の活性化に貢献できればよいなと考えています。
山崎なぜTikTokをやるの? と多くのクラブの方は思うのが自然なことかなと。TwitterやInstagramをやっている上にTikTokも加わるとなると、スタッフの工数を割くことになります。本当に効果はあるのか、という疑問は出ますよね。ゲストを呼んだり編集作業をしたり、1日2回もアップしなくても良いじゃん、と。そういう声は絶対に生まれてきます。
だからこそ、収益に繋がる要素を増やしていかないといけません。もちろんチケット収入を増やすのは目的の一つですが、スポンサーシップの実績も作らなければいけないと考えています。YouTubeは登録者を増やすことでスポンサーシップの案件が入る可能性が高まりますが、実際に開設して3年経ったいま、YouTubeのスポンサー案件だけで年間で数千万の売上が立っています。
TikTokも同じように、コンテンツPRの先はチケット購入だけでなく、企業からのスポンサーシップ案件獲得に繋げられればなと思っています。また、TikTokとshopifyの連携も始めていきたいので、グッズの購入をそこで生みたいですね。こういった施策案もユーザーがプールできているからこそ考えられるので、いろいろとトライをしてその成功例を今シーズンは作っていきたいと思います。
実績を積み重ねていけば「やる意義はあるよね」と認めてもらえるのかなと。僕らで新たなモデルと成功事例を作って、多くのクラブがTikTokを運用してもらえれば、と思っています。