「Beats Flex ー fragment designスペシャルエディション」 Apple公式サイトで販売開始
11/03/2022
10年前に3Dブームがあった。カメラやテレビが続々と3D化したものだが、すぐにブームは去った。それでも3D映像を見たい、撮りたいというのは人の基本的欲求だ。そしていままた、VR用のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)で、リッチな3D映像を見るムーブメントがやってきた。撮影側からそれを担うのがキヤノンだ。8K撮影可能なミラーレス一眼EOS R5に対応するダブル魚眼レンズ(以下、「EOS VR」と称す)を開発し、高品質な3D動画、3D静止画を気軽に撮影できるようにした。【写真】CanonRF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE3D映像がなぜブームになってもすぐに忘れられるのかというと、ずばり画質が悪いからだ。立体感や現実感ではものすごくリアルだが、映像がボケボケで色が不正確、コントラストも弱く、品質にまったくリアリティがないので脳が混乱するのだ。その点、EOS VRは抜かりない。両目の間隔(60mm)にふたつの魚眼レンズを配し立体感を確保、画質はEOS R5の8Kセンサーを左右に二分割して記録し、片目当たり4Kの解像度を得ている。これにて立体感と画質が、まさに高い次元でバランスするのだ。スタジオにいる人物、カラフルな花が蝟集する花畑、鎌倉高校前を走る江ノ電、穏やかに波が打ち寄せる砂浜……と、さまざまな3D動画をオキュラスのHMDで観た。その画質のよさに驚いた。十分な情報量と色のよさ、階調性がありながら人物の膨らみ、立体感、景色の奥行きなど3D効果も実にダイナミック。
ファインダーをのぞいた時の視野イメージ。ふたつの魚眼レンズを備え、高画質な3Dの180°VR映像を撮影可能。逆光時も快適に撮影できる特殊コーティングが採用されている。
それを実現しているのは、レンズとシステムの優秀さにほかならない。このレンズには、双眼鏡のプリズム技術、レンズコーティング技術、そしてコンパクトカメラで培った小型化技術というキヤノンの得意技が3つも応用されている。特に周辺までの均一性が確保されたレンズだから、映像がとても自然だ。EOS VRはこうして「画質と立体感」を両立させることで、3Dの新次元を拓いたのだ。
デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。近著に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)がある。
編集:一ノ瀬 伸
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