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11/03/2022
ドローン大手のフランスParrot社は6月30日、4G回線に接続し新型機「ANAFI Ai」を2021年下半期に発売すると発表した。操縦のソフトウェアをオープンソース化したほか、ドローンとコントローラーにセキュアエレメントを搭載し情報漏洩対策を施した。機体に搭載したステレオカメラで全方向の障害物を検知して自動的に回避する独自設計の障害物回避システム(OA)を搭載した。ANAFI Aiは、Parrot Drone Enterprise Partnersなどを通じて発売される予定だ。
発表は同社の公式サイトで行われ、プレスリリースがフランス語、ドイツ語、英語、米語で発信された。それによるとANAFI Aiのドローンとオペレーターの間の主なデータリンクに4Gを使用し、4Gリンクは暗号化される。4G接続により、ユーザーは通信制限を感じることなく、あらゆる距離で正確なコントロールが可能になるという。
コントローラーである「Skycontroller 4」と機体にセキュアエレメントを搭載し、ソフトウェアを侵入から保護し、転送されるデータの流出を防ぐ。専門家の用途にはパロットのパートナーエコシステムがアプリケーションやサービスを提供して対応する。
操縦用アプリケーションもオープンソース化した。ソフトウェア開発者に開発キット(SDK)を提供し、カスタムコードの実行を可能にする。
内蔵するメインカメラは48MPだ。クワッドベイヤーセンサーは、HDR10モードで14EVkのダイナミックレンジを実現し、ハイライトとシャドウのそれぞれを捉える。6倍のデジタルズームを使えば、75m離れた場所で1cmの対象を見分けられる。ジンバルのチルト範囲はプラス・マイナス90°。たとえば橋梁の下にもぐり、真上を見上げて橋梁の裏側を点検できる。手振れ補正は機械式3軸、電子式3軸のハイブリッド6軸で、風速12.7m/sの横風を受けてもブレのない写真の撮影ができる。
旋回する頭部に搭載された全方位カメラが、全方位で飛行方向の障害物を検知し、自動的に最適な軌道を決定してミッションを遂行することができる。
4Gネットワークの状況に適応するストリーミングソフトウェアも開発し、ネットワークの品質に応じ解像度やフレームレートを素早く最適化する。データ送信が可能なSIMカードを利用でき、ANAFI Aiのために新たな契約をする必要はない。
AIが搭載してあり、写真測量に特化したフライトプランを自動的に生成する。NAFI Aiの画像は、フォトグラメトリー・ソフトウェアと互換性がある。特にPix4Dとは、ANAFI Aiが飛行中にPIX4Dcloudに直接画像を送信し、着陸時に計算を開始する。手動で時間のかかるデータ転送作業をせずにすむ。
パロットは2010年に「A.R. Drone」を発表して以来、オープンソースをプラットフォームの中心としてきた。ANAFI Aiの発売にあわせ、ソフトウェア開発キット(SDK)を拡張し、地上制御局アプリケーションFreeFlightの第7バージョンをオープンソース化した。
「Air SDK」では、コードを直接実行するための技術アーキテクチャを提供。ANAFI Aiの 開発者は、機体のセンサーや接続インターフェース、自動操縦機能にアクセスし、カスタムデザインの自律飛行ミッションをプログラムできる。また「Ground SDK」では、開発者は、パロット社製ドローン用のiOS、Androidモバイルアプリケーションを作成し、ドローンの機能にアクセスできる。「OpenFlight」はFreeFlight 7のオープンソースのコアで、開発者は独自の機能を追加し、ストアで公開することができる。「Sphinx」では開発者は、フォトリアリスティックな3Dシミュレーション環境で、アルゴリズムや飛行戦略を試すことができる。
またパロットのプラットフォームは、業界標準(WIFI、RTP/RTSP、MAVLINK)に基づいて構築されていて相互運用性が高い。パートナーエコシステムも幅広く、企業向けドローン・プラットフォーム(Skyward, a Verizon Company, Measure, an AgEagle Company)、飛行ログ・サービス(DroneLogbook, Airdata)、公共安全プログラム(DroneSense)、高度なミッション・プラニング(QGroundControl, UgCS)から、メディア・データ・クラウド・プラットフォーム(Survae)、リアルタイムの地理空間状況認識(Rapid Imaging, Textron Systems)、測量・地図作成(Pix4D)まで多岐にわたる。
さらに、高いサイバーセキュリティも備え、NIST(米国国立標準技術研究所)のFIPS(米国連邦情報処理規格)140-2規格のうち4段階あるうちのレベル3に準拠している。コンピュータセキュリティのための国際規格であるコモンクライテリアの7段階あるうちの「EAL5+」を取得したワイズキー(WISeKey)セキュアエレメントを組み込んでいる。セキュアエレメントは暗号処理を行い、機密情報の保存と保護をし、組み込みソフトウェアの完全性を保護し、4G接続と認証のためドローンに固有のアイデンティティを提供し、ドローンで撮影した写真に独自のデジタル署名を行う。
これによりユーザーはデータを自信の管理下で行うことができる。ユーザーが明示的に同意しない限り、デフォルトでデータが共有されることはない。ANAFI Aiは、欧州連合一般データ保護規則に準拠していて、例えば、1クリックですべてのデータを削除できる。
現在、ヨーロッパ初のクラウドソースのセキュリティプラットフォームであるYesWeHackと提携し、バグを発見した場合に報奨金を提供するバグバウンティプログラムを実施中だ。パロットは、ドローン、モバイルアプリケーション、ウェブサービスの脆弱性の特定にサイバーセキュリティ研究者の広大なコミュニティを活用している。
パロット社の新しいコントローラー「Skycontroller 4」は、煩わしいケーブルが不要になるなど先駆的なデザインを採用した。iPad miniや大型のスマートフォンはすべてが使用可能になった。パロットはANAFI Aiについて、「仕事に喜びを、仕事に完璧を」(アリストテレス)を実現する機体と位置付けている。
詳細は公式サイトでチェックを:https://www.parrot.com/us/drones/anafi-ai
■パロットについて
1994年にアンリ・セドゥによって設立。ドローン業界ではヨーロッパを代表するグループ。機器、サービス、ソフトウェアなどバリューチェーン全体に事業を展開している。主に①農業、②3Dマッピング・測量・検査、③防衛・セキュリティの3領域で開発を進める。パロットグループは、主にフランスとスイスを中心に欧州で製品の設計・開発を実施。現在、従業員は全世界で500人以上、売上の大部分はフランス国外であげている。パリに本社を置き、2006年以降、ユーロネクスト・パリに上場(FR0004038263 – PARRO)。財務情報は http://corporate.parrot.com で確認できる。
村山 繁DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
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