『I LOVE みんなのどうぶつ園』なぜ動物番組は“保護犬・保護猫”だらけになったのか

『I LOVE みんなのどうぶつ園』なぜ動物番組は“保護犬・保護猫”だらけになったのか

制作サイドの地道なリサーチと映像の作り込み

『I LOVE みんなのどうぶつ園』で預かりボランティアを行っているサンシャイン池崎

『I LOVE みんなのどうぶつ園』なぜ動物番組は“保護犬・保護猫”だらけになったのか

テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第212回は、19日に放送された日本テレビ系バラエティ番組『I LOVE みんなのどうぶつ園』(毎週土曜19:00~)をピックアップする。【写真】日本テレビの市來玲奈アナ、相葉雅紀、NHKの鈴木奈穂子アナ今回の放送は、NHK『家族になろうよ』とコラボした「相葉雅紀、桝太一アナ、鈴木奈穂子アナの保護犬散歩」に加え、「サンシャイン池崎家の新入り保護猫・豆大福に急展開!?」「佐野勇斗が預かる元野犬・ウォンカがドラマ撮影現場で西島秀俊&芳根京子と初対面へ」の3本立てで放送された。動物番組に向けられる視聴者の目が厳しくなる中、保護活動の描き方にはどんな変化が見られるのか。また、NHKとのコラボはどんなものになるのか。■結論を急がず盛り上げようとせず開始早々いきなり、NHKの鈴木奈穂子アナと、どーもくんが登場。鈴木アナは「アナウンサー生活17年目、初めて(の日テレ出演)です」と語り、コラボの説明をし始める。すると画面下部に、「NHK『家族になろうよ』200匹以上の保護犬・保護猫に家族を見つける手助けを」「今回みんなのどうぶつ園と一緒に保護犬・保護猫の現状と魅力を伝える」というテロップが立て続けに表示された。さらに、画面下部が三分割され、左から「サンシャイン池崎の預かりボランティア」「相葉&桝&鈴木アナ NHKのスタジオへ」「佐野勇斗と保護犬ウォンカの共同生活」のサムネイル風写真が表示された。もともと日テレバラエティはテロップが多いことで知られているが、画面上の演出にYouTubeのサムネイル的な演出を採り入れているのだろうか。まずは、サンシャイン池崎のコーナーからスタート。飼い猫の雷神と風神に加えて、「元野良猫の豆大福を自宅に迎えて、新しい飼い主が見つかるまで引き取る“預かりボランティア”を行っている」という。目についたのは、「池崎の自宅に15台の定点カメラを設置し、撮影した映像を後日、本人が実況し、さらに番組がナレーションとテロップをつけて放送する」という演出。今やタレントが自宅の隅々まで公開することは当たり前のようになっているが、「後日、本人がツッコミやボヤキを入れていく」というスタイルはYouTube的なものに見えた。しかし、そこはさすが映像編集に長けたテレビだけに、シュールな笑いを誘い、かつ効率がよく、コロナ感染予防にもなっていたのではないか。池崎は、これまで3匹の預かりボランティアを経験済みだが、5~6カ月の赤ちゃんは初めて。豆大福は警戒心から、高いキャットポールの上にずっといて、思うようにふれ合いが進まない。ただ、ネコ同士は仲がよく、豆大福も池崎が部屋からいなくなると活発に動き出していた。自ら実況する池崎は、豆大福にまったく懐かれない自らの姿に「感情がない」「何も考えてないのかな」「何食っても同じ顔してますね」などとコメント。笑いを誘っていたが、それ以外の見せ場と言えるのは、豆大福がソファーからずり落ちる姿や、飼い猫たちと仲よく寝る姿くらいで、分かりやすく盛り上がるシーンはなかった。最後は「少しだけ距離が縮まる」という小さな進歩のみを見せてコーナーは終了。保護猫という丁寧な扱いが求められるコーナーだけに、「結論を急がず、無理に盛り上げようとせず、辛抱強く見守っていく」という番組の姿勢を感じさせられた。保護施設代表・北村さんの客観的なコメントをはさんでいたことも含め、批判を未然に防ぐための対策には抜かりがなさそうだ。■志村園長が登場するファンサービス続くコーナーは、佐野勇斗と保護犬ウォンカの共同生活。ウォンカは推定5歳の元野犬で、「1歳のころに保護されたものの、4年間飼い主が見つからない」という。番組は佐野が出演するドラマ『真犯人フラグ』の撮影現場近くに家を用意し、ウォンカとの共同生活がスタート。14台の定点カメラで、その様子を観察していった。ウォンカは初日、ケージの奥で固まったまま動かなかったが、3日目に初めての散歩をするなど、少しずつ距離を縮め始めていく。佐野は「ゆっくり後ろ向きで近づく」「気にしていないフリをする」「近づく意思を示す」などの作戦もあってふれ合いの頻度は増えていった。「さわらせてくれました!」と喜び、「どうこれ、気持ちいい?」と優しく声をかけ、仲よく添い寝……いずれもこれ以上ないほど好感度抜群の映像であり、この企画に出演したい芸能人と事務所関係者は多いだろう。そんな佐野の姿を見たスタジオのアインシュタイン・河井ゆずるが「池崎のVTRと全然違う」とコメントするなど、芸人と俳優を並べて比べさせる構成も機能していた。続いて佐野とウォンカは、『真犯人フラグ』の撮影が行われている生田スタジオへ向かい、西島秀俊、芳根京子と対面。ここで2人が過去に出演したシーンのVTRが流れると、その中には『天才!志村どうぶつ園』の映像もあり、志村園長の姿が見られた。こんな番組のDNAを思い起こさせる演出は、ファンサービスにもなるのだろう。ウォンカは西島と芳根がなでても、まったく問題なし。最後は「なぜかウォンカが佐野のおやつだけ食べない」というオチがつき、次回以降のお別れシーンをチラ見せして終了した。

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