「バイラクタルTB2」無人攻撃機はロシア軍に対して有効か?(JBpress) - Yahoo!ニュース

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ウクライナを訪問してゼレンスキー大統領(左)と会談したトルコのエルドアン大統領(2022年2月3日、写真:AP/アフロ)

 (数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官) ロシアによるウクライナ侵攻は、今まさに発生するかもしれないと危惧される情勢です。侵攻が始まれば、ロシア、ウクライナ双方が無人攻撃機(以下「UAV」)を使用すると思われますが、最も注目されるUAVは、ウクライナがトルコから導入している「バイラクタルTB2」でしょう。【写真】無人攻撃機「バイラクタルTB2」。ウクライナは12機を導入している。 バイラクタルTB2は、2020年に発生したナゴルノ・カラバフ紛争においてアゼルバイジャン側が使用し、その戦果が映像として拡散されたこともあり、UAVの有用性を世の中に広く認識させた機体です。 ウクライナは12機のバイラクタルTB2を導入しており、ナゴルノ・カラバフ紛争時と同じように、侵攻するロシア軍に対して有効な攻撃を行うのではないかと予想している人も多いことと思います(その映像の拡散も期待していることでしょう)。 その一方で「バイラクタルTB2はロシア正規軍相手には通用しない」と主張する声も聞かれます。そうした主張は、ナゴルノ・カラバフ紛争の実際の状況や、シリアやリビアでバイラクタルTB2が撃墜された事実などを根拠としています。 本稿では、そうした事実の背景を解説し、ロシアによる侵攻が発生した場合、バイラクタルTB2が機能するかどうかを検証してみたいと思います。■ バイラクタルTB2は撃墜されてしまうのか?バイラクタルTB2は撃墜情報も多いのですが、ここではそうした情報を基にするのではなく、各種迎撃手段による撃墜可能性を、少しだけ技術的な話をしながら検討します。

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 【レーダー、IRSTで発見できるか】 飛行中のバイラクタルTB2を撃墜するためには、まず発見しなければなりません。現代の主力空中捜索手段はレーダーですが、バイラクタルTB2はレーダーで発見できないと考えている方がいるようです。 その理由の1つは、機体が小型であるためレーダー反射が少ないことです。専門的には「RCS(Radar cross-section)が小さい」と表現されます。 しかし、機体が小さいとはいえ、本格的にステルス設計された機体ではありません。本格的にステルス設計すると空力的には不利になりますので、バイラクタルTB2は長時間滞空性能を重視してステルス化はしなかったものと思われます。バイラクタルTB2のRCSは公表されていませんが、鳥や昆虫並とも言われる本格的なステルス機よりも相当大きなRCSのはずです。 自衛隊では、昭和の時代から各種訓練の標的としてドローンを使用しています。これらはバイラクタルTB2よりもさらに小型で、ほぼミサイル並の大きさですが、ちゃんとレーダーに映ります。映るからこそ標的として訓練に使用できているのです。ただし、訓練の際には、想定している目標に合わせてRCSを調整するため、よくリフレクターと呼ばれるものを装着してRCSを調整しています。 「レーダーはバイラクタルTB2を捉えられない」と考える人は、もう1つの理由を挙げることがあります。それは、バイラクタルTB2が低速であることです。 現代のレーダーは、目標に向けて放射した電波と反射波の周波数(波長)変位を観測することで目標の捕捉を強化しています。これは、「MTI(moving-target indicator)処理」と呼ばれる信号処理です。電磁波ノイズの大きな電子戦環境下、クラッターと呼ばれる目標以外からの反射波が多い環境などで目標を確実に捉えるために使用されます。これは、目標が接近する場合には反射波の周波数が上がり、遠ざかる場合には周波数が下がるドップラー変位を利用した信号処理で、ゲート処理の1つです。ゲート処理ですから、そのゲートに弾かれる場合、つまり、この場合ドップラー変位が起きていない信号はノイズとして消されてしまいます。結果として、接近しておらず遠ざかってもいない目標は消えてしまうのです。

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最終更新:JBpress