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11/03/2022
Dr.片山の100均ロボット研究室
ものづくりラボ
by 片山 均 / 三浦 一紀
2021/06/16 07:00
パーソナル・ファブリケーションロボットツイートシェア▼こんにちは。片山均(かたやま ひとし)です。愛媛県八幡浜市にある三瀬医院の院長を務めながら、100均ロボットの研究室で日夜研究をしております。2021年6月22日まで、山梨県立美術館で「テオ・ヤンセン展」が開催されていますね。とても観に行きたいのですが、こういうご時世ですし、私の家から遠いので見に行くことができません。 その代わりといってはなんですが、100均の素材でテオ・ヤンセンの「ストランドビースト」を再現した12脚歩行ロボットを作ってみました。
多脚歩行ロボットが歩く機構にはいくつかのパターンがあります。テオ・ヤンセンの代表作「ストランドビースト」で使用されているのは、リンク機構(またはテオ・ヤンセン機構)と呼ばれるものです。これを100均の材料だけで作りました。コミカルな動きが、見た人を笑顔にしてくれると思います。
材料は以下の通りです。
では、製作過程をご紹介します。
まずは竹のお箸を適当な長さに切り、グルーガンで接着して毛玉取り器を載せるやぐらの上部を作っていきます。
コンパスカッターを使い、タイルマットと厚紙を切り抜いてプーリーを1個作ります。
やぐらの下部の片側にはストローを、反対側に短い2本のおはしを接着します。プーリーを取り付けた軸の端をストローに通し、反対の端を短いお箸の間にはめます。
そのままだとおはしの側の軸が下がってしまうのですが、輪ゴムでプーリーと毛玉取りのモーター軸をつなぐのでプーリーの軸は水平に保たれます。両方の軸受けをストローにしないのは輪ゴムを交換しやすくするための工夫です。長いお箸を接着して、やぐら下部が完成です。
ここからは脚を12脚分作ります。テオ・ヤンセン脚は各パーツの長さがWikipediaなどに公開されているので、それを参考に木製スティックを並べて、穴を開ける位置や切断する位置に印を付けていきます。ここがズレるとうまく動作しないので、慎重に行っていきます。
大きな穴を開ける際には、パンチを使うとラクです。もちろんこのパンチも100均のものです。ただし、パンチが壊れてしまう可能性があるので、工作専用に用意しておくといいでしょう。
小さな穴はピンバイスで開けます。
1脚につき10個のパーツが必要になります。これを12脚分作ります。一人でやるには結構孤独な作業です。
脚の一部(bとdおよびgとi)は2つのパーツが作る角度が決まっているので、テオ・ヤンセン脚の図に重ねてパーツ同士を接着していきます。
大きな穴にストローを通して接着していきます。ストローと木製スティックを接着し、ストローの余分な端を切ってから、この棒(竹箸)を抜きます。
この棒はストローを木製スティックの穴に通したり、それらを接着したり、余分なストローの端を切りやすくしたりするためのものです。
小さな穴の開いているパーツ同士をつまようじとミニストローでつないでいきます。これを12脚分作ります。
脚につなぐためのパーツの付いたクランクを2組作ります(製作動画の1分57秒くらいからを参照)。
クランクと脚をつまようじで接続していきます。
脚の束をクランクに取り付けていきます。
ミニストローを短く切ってつまようじ部分を留めて、余分なつまようじを切ります。
本体とクランクをグルーガンで接着します。
毛玉取り器を載せ、プーリーと毛玉取り器のモーターを輪ゴムでつないだら完成です!
完成後に動作確認。テオ・ヤンセン機構の滑らかな脚運びが再現できました。以前、竹のお箸で脚を作ろうとして苦戦していたのですが、今回は木製スティックやつまようじを使ったことでコンパクトに仕上げることができました。
1個では寂しいかなと思って、2個作りました。
いい眺めです。
これまでにも何度かストランドビーストの製作にチャレンジしましたが、重量を支えきれなかったり、脚同士がぶつかってしまったりして、なかなか思うように作ることができませんでした。試行錯誤の末、木製スティックを使用することで飛躍的に安定させることができました。
今回も、木製スティックで作った脚がぐらついたり、脚同士がぶつかってしまったりしたのですが、スティックの穴にストローを通して接着することで解決できました。ストローは偉大です。
12脚あるので結構手間が掛かりますが、身近な材料で作れることを考えると、あまり大変とは感じません。ぜひ皆さんもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
なお、6脚ずつ左右別々のモーターで制御するようにすれば、ラジコンのように思い通りに動かせるようになると思います。こちらもいずれチャレンジしたいと思います。
では、第3回はこの辺で。次回もお楽しみに!
企画・制作:片山均取材・文:三浦一紀