どこまでも続く海、広い空、巨大ファルコンを操るフライトコンバット『ファルコニア ウォリアーエディション』は世界をじっくり味わうべし【先行プレイレポ】

どこまでも続く海、広い空、巨大ファルコンを操るフライトコンバット『ファルコニア ウォリアーエディション』は世界をじっくり味わうべし【先行プレイレポ】

この世界観の設定については、特にその詰め方とグラフィックへの落とし込み加減が絶妙だと感じます。例えば、島の環境を見てみると、滑走路の設置が極めて難しい場所が多く、航空機は基本的に飛行船が主体ということがわかります。技術レベルと文明レベルが噛み合っていないと思うかもしれませんが、これは、アーシーのそこかしこに散らばるかつての文明の残骸や遺跡などを利用したのだと考えられます。そうなると資源的にも機械の量産が難しく、また運用すらできないような一部の厳しい環境の島々においては、ファルコニアはとても貴重な存在だったのだろうなあ……というように想像がどんどん広がります。ただまあゲームの都合上、そんなファルコニアが戦闘中わりとポンポン撃墜されるので、これらはただの考えすぎという気もしてきました(錯乱)。

またアーシーには、他にも昆虫やドラゴンなどの巨大生物が空を飛んでいるのですが、「でかい鳥がいるんだから、同じくでかい虫や竜の一匹や二匹もいるわな」と妙な納得感。このようにガッチリと詰めた設定を、世界の隅々まで使って表現している本作のグラフィックは一級品だと感じます。

ストーリー

ゲーム開始と各チャプター間には、語り部による厳かなムービーが始まり、ファルコニアたちの物語を追体験しているという感覚をもたらします。物語は6つのチャプターで分けられていますが、エピローグを除いてどれでも自由に選択してプレイ可能。オムニバス的な展開をするため、「追体験を楽しむ」という意味では、どれを選んでも問題ないでしょう。しかし実際のところ、各チャプターにはゲーム自体の難易度とは別に「推奨レベル」が設けられており、プレイヤーキャラクターのレベルが低いうちは戦力や資金で苦労しがち。そのため結局は難易度が一番低い「ダンクル」から遊び始めることになるプレイヤーも多いはず。ダンクルチャプターは、この世界と登場勢力の顔見せ的な位置づけなので、ある意味導入としてこれほどわかりやすいシナリオは無いかもしれませんね……って、いま書いていて改めて思ったのですが、これはこういう形でチャプター分けする意味あったのかな……?

ともあれ実際にプレイした印象ですが、追体験という形をとっているからか、プレイヤーはメインストーリーに関与はするものの、どこか傍観者的な立ち位置だと感じました。我々が操作するキャラクターが発言し、他のキャラクターと積極的に絡むということがありません。これについて私は、プレイヤー=物語の「読み手」という認識だったので、特に違和感なくプレイしていましたが、おそらく「蚊帳の外では?」と気になってくる人もいるはず。本作にRPGとしての没入感を得られるかどうかは、プレイヤーがこのストーリーにどれだけ興味を持てるかどうかによるのかなと感じますね。

翻訳

「本作にRPGとしての没入感を得られるかどうかは、プレイヤーがこのストーリーにどれだけ興味を持てるかどうかによる」と書きましたが、そういう意味において、本作における「翻訳」のポジションはとても重要だと思います。しかし正直なところ、私は「セリフや説明を文章として律儀に訳しただけ」と感じてしまい、ストーリーを肌身で感じてぐいぐい引き込まれるかというと、やや厳しいものがありました。例えば、強気な口調で挨拶してきたキャラクターが次の瞬間「ですます調」の敬語になる、またはシステムメッセージの色が強いセリフが表示されるなどなど、全体的にひとつの文脈にまとまっていない印象です。ただまあ言語の壁はいつだって我々の前に厚く横たわるので、これは無理からぬ話だとも感じます。とはいえ、前回のプレイレポで取り上げられたような「言葉の意味合いが決定的に間違っている」というのではなく、ただただ原文の持ち味を生かしきれずに勿体ない……!という、なんとも惜しいという気持ちが強いです。ちなみにPC版も確認したところ、翻訳はPS4版と同じものになっていました。あらやだいつの間に。

オープンワールド

繰り返しになりますが、本作のグラフィックは一級品。空、雲、海、島々……それらすべてから厳しい自然を感じさせる巧みなデザインが光ります。特にマップを移動中、見渡す限り荒れた海な上に悪天候……そんな長距離飛行を経て、人の営みが灯りとなって見える島に到着した時の喜びときたら!ここは実際に長旅をしてきたかのような達成感と楽しさがありますね。このようにプレイ体験の良さを引き立てるオープンワールドの作りこみは、演出込みで本当に素晴らしい。

もちろん、長距離ばかりでは移動のストレスも出てくるため、それを減らす便利な機能として「ファストトラベル」も利用できます。ミッションの帰り道に使用すると拠点までひとっとび。これは便利。ただし、その拠点の着陸ポイント判定がややシビアで、ちょっとでも範囲外に動くと降りられなくなるのが玉に瑕。

ミッション

ミッションは拠点などの各ロケーションに「ストーリー任務」を中心に用意されており、他にはタイムアタックだったり、おつかいだったり、サブミッション要素がいくつかあります。ミッションの基本的な構成は、目的地まで「移動」し、「調査/回収」または「戦闘」を行うという具合で、これはどの陣営でも同じです。ただし各チャプター各陣営で、プレイヤー操るファルコニアの「立ち位置」が異なるため、昨日の敵は今日の友……とまでは言いませんが、同じ世界でも勢力ごとに見え方や捉え方が異なるのは面白い感覚でした。あとオープンワールドをのんびり遊覧飛行しているとき、近くを通った船から護衛を頼まれる……といった小さな突発ミッションもあります。小さな演出ですが、こういったミッションのおかげで、「アーシー世界で生きているんだ……!」というワクワクをより感じることができました。

ちなみに、システム的な部分でありがたかったのは、チャプターごとにキャラを最初から作って育て直すというスタイルではなく、(見かけ以外)引き継いでステータスの共有が可能なことですね。一部を除いてチャプターにおけるストーリー任務は10個のミッションから成るので、意外とプレイ時間は長く感じがち。もし新規キャラをいちいち用意することになっていたら、プレイのモチベーションがみるみる下がっていたことでしょう。そのため、自由にチャプターを選ぶプレイスタイルを邪魔しないようにするこの心配りは非常に好感が持てました。

操作あれこれ

操作感についても触れていきましょう。本作において、「大空を巨大な鳥に乗って飛ぶ」という操作は、ゲーム全体の骨格部分なので大変丁寧に作られていると感じます。簡単な操作であるにもかかわらず、とても気持ち良いプレイ体験を楽しむことができ、「もし実際に鳥を操って空を飛ぶならこんな感じなんだろうな」とすら思わせてくれます。

操作は、コントローラーであれば左スティックで上昇下降ならびに旋回、L1・L2で加速・減速、R1・R2でメイン・サブの射撃攻撃といたってシンプル。注意すべき点は加速で、ブースターなどは搭載されていないため、代わりに降下によってエネルギーを溜めて使用します。このエネルギーは水平飛行時に時間回復し、またマップに点在する上昇気流のおかげで、高度管理に気を付けてさえいれば、エネルギー切れでジタバタするという場面は発生しにくいと思います。

他に注意する点があるとすれば、残弾数でしょうか。射撃系武器は、弾切れを起こしたらエネルギーチャージのため、雷雲の中を飛行するか、海上に浮かぶ装置から回収する必要があります。

カメラワークについて

ファルコンは大きく軌道を描いて優雅に飛び、速度を落とせば細かい軌道もそこそこ描け、さらにバレルロールや急降下だって行えます。ただし、カメラの動きに癖があるため、後ろを取り合うドッグファイトにもつれこむと、ゲーム自体の難易度よりも、カメラワークで苦戦しました。ターゲット追従カメラや、偏差射撃のカーソル表示もされる親切仕様ですし、慣れると攻撃を当てられるようになってきますが、それでもしばしばやりづらさを感じました。

ちなみに僚機となる味方もいて、指示を出して援護を要請可能、なかなかの仕事をしてくれます。ともあれ戦闘については、慣れるまでは難易度をイージーにしたり、キーコンフィグを調整したりしつつ、自分の好きな操作感を見つけることを優先すると良いかもしれません。

フォトモードが楽しい!

個人的に、本作で最も楽しんだのはフォトモードでした。いつどこを切り取っても良い画になるのは、やはり本作のビジュアルが設定込みで高水準にまとまっているからだと思います。陸、海、空それぞれが本当に美しく、ミッションを受けずにオープンワールドを流しながら景色を眺めているだけでも充分楽しいくらいです。

一方で、どうしてこういう設計にしたの……?と思わずにいられなかったのは、フォトモードの操作系。なぜカメラ移動に慣性をつけた……。また各ボタンの対応表記はメニューから操作説明画面を開くと確認できますが、「アイコン+ボタン」のみが表記されているので、実際に動かすまで何がどう対応しているのかわかりづらい。そのためフォトモードとメニューを行って戻ってという操作が発生してしまい煩わしくなりがち。せめてフォトモード中は、いちいち別画面を開くよりも、何かボタン一つで対応表記のオン・オフができたらより便利だと感じます。これらひとつひとつは小さなものですが、PS4のワンテンポ遅れてスクショ撮影される仕様と相まって、非常にストレスを感じる部分でした。

このやりづらさはマップ関係も同様。まず移動中の簡易マップは、ファルコニアの飛行高度に合わせて拡大縮小されるので見辛い。高度が上がれば上がるほどマップ内の各アイコンは米粒ほどにまで小さく表示され、自分がどこにいるのかさっぱりわかりません。この部分については、十字キーの上下によって手動操作できると教えて頂きました。しかし操作を止めるとすぐ自動で拡大縮小されてしまうため、地図のサイズを固定表示させるためには、結局のところ指でキーを押し続けなければなりません。これはファルコンで移動しながら地図を確認する際、いささかやり辛いポイントでした。また個人的に少々気になったのは、この十字キーによるミニマップの操作がゲーム本編中で説明されていないという点。念のため設定・操作画面を再確認し、ゲームのチュートリアルも受け直し、PC版のDLCでマニュアルを入手して調べましたがどこにも見当たらず……。幸いなことに、目的地がある場合はガイドが直線として表示されるので、とりあえずは移動できますが……。

そしてワールドマップでのカーソル移動にも、また「謎の慣性」が作用します。拠点などのアイコンが近くにあれば、カーソルが自動でスススッ……と吸い寄せられる仕様。しかもカーソルが少しでも触れれば、いちいち音声・字幕付きの説明ナレーションが厳かに始まるので、じわじわとストレスがたまる部分でした。

おわりに

個人的に、本作では戦闘などを楽しむというよりも、広い世界をのんびり飛びまわって、気に入ったロケーションを見つけたり、ベストショットを撮影するといった遊び方がとてもしっくりきました。これは憶測ですが、極力画面を邪魔しないようデザインされているUIからも、本作はゲームの香りを抑えて、アーシー世界で生きるという感覚を表現したかったのかもしれません。細かいところでフラストレーションは溜まるものの、全体的に見れば楽しく遊べる本作。夏の暑さにやられそうな時は、涼しい部屋で大空を飛び回ってみるのも良いかもしれませんね。

『ファルコニア ウォリアーエディション』はAmazon.com/PS StoreにてPS5/PS4向けに、Amazon.com/マイニンテンドーストアにてニンテンドースイッチ向けに8月5日(木)より発売です。

タイトル:『ファルコニア ウォリアーエディション』 発売日:2021年8月5日(木)ジャンル:空中戦ACT/RPGCERO:Bプレイ人数:1人製品情報ページ:https://www.3goo.co.jp/product/falconeer-warrioredition/ストアページ:マイニンテンドーストア/PS Store(PS5/PS4)

価格:パッケージ版『ファルコニア ウォリアーエディション プレミアムパック』 4,950円(税込)・ゲーム本編ディスク/ROM(追加コンテンツ:The hunter/Edge of the World+無料アップデート収録)・デジタルアイテムダウンロードコード(オフィシャルサウンドトラック 29曲 + 公式ゲームガイド 38ページ)ダウンロード版『ファルコニア ウォリアーエディション』3,850円(税込) ・ゲーム本編(追加コンテンツ:The hunter/Edge of the World+無料アップデート収録)