約883gからの超軽量14型モバイル「LAVIE NEXTREME Carbon XC950/DAG」

約883gからの超軽量14型モバイル「LAVIE NEXTREME Carbon XC950/DAG」

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写真:Impress Watch

約883gからの超軽量14型モバイル「LAVIE NEXTREME Carbon XC950/DAG」

 NECパーソナルコンピュータは、モバイルノートPC新モデル「LAVIE NEXTREME Carbon」を発表した。LAVIEシリーズとして初となるアスペクト比16:10の14型ディスプレイを採用しつつ、最軽量モデルでは900gを下回る約883gの軽さを実現。また、製品名にもあるよう筐体にカーボン素材を採用することで、優れた堅牢性も兼ね備えた、本格モバイルPCとなっている。【この記事に関する別の画像を見る】 今回、LTE対応ワイヤレスWAN搭載モデル「LAVIE NEXTREME Carbon XC950/DAG」を試用する機会を得たので、じっくり見ていきたいと思う。すでに発売中で、実売価格は27万7,000円前後。■ 天板と底面にカーボン素材を採用することで軽さと堅牢性を両立 「LAVIE NEXTREME Carbon XC950/DAG」(以下、XC950/DAG)は、NEXTREME Carbonシリーズの最上位モデルとなる。主な仕様は表1にまとめたとおりだ。 冒頭でも紹介しているように、NEXTREME Carbonの最軽量モデルでは重量が約883gとなっているが、今回試用したXC950/DAGではLTE対応ワイヤレスWAN機能を内蔵し、バッテリも大容量の「Lバッテリ」を搭載していることもあって、重量は約937gと900gを超えている。ただ、それでも十分軽いことには変わらず、実際に片手でも軽々と持てるほどだ。なお、実機の実測の重量は934gと、公称をわずかに下回っていた。 この軽さを実現するために、NEXTREME Carbonでは製品名からもわかるように、筐体素材としてカーボン素材を採用。具体的には、天板と底面にカーボン素材を利用している。 天板に採用されているカーボン素材は、局所的な圧力に対しても優れた剛性を備える、東レが開発した新構成カーボンを採用。人工衛星やF1マシンなどにも採用される最上級品の炭素繊維を利用したプリプレグで超軽量のコア剤を挟むことで、満員電車などで局所的に加わる圧力にも十分耐える剛性を実現しているという。 また底面には、優れた剛性を備えるのはもちろん、熱伝導性や振動低減効果に優れる、異なるカーボン素材を採用しているとのことだ。 このように異なるカーボン素材を採用した筐体によって、150kgfの面加圧に耐える耐圧性能や、76cmからの落下試験をクリアする優れた堅牢性を実現。加えて、米国国防総省が定める調達基準「MIL-STD 810H」に準拠した8種類の堅牢性試験もクリアしており、堅牢性に関しては文句の付け所がないと言える。 実際に本体をやや強い力でひねってみてもびくともしない印象で、全く不安を感じない。しかも、比較的薄いディスプレイ部のみをひねってみても大きく歪むことがなく、優れた剛性が確保されていることを強く実感できる。これなら、安心して外に持ち出せるはずだ。 本体デザインは、LAVIEシリーズとして標準的なものという印象。天板はフラットで、側面もスパッと切り落とされたような、直線的かつソリッドな筐体からは、まさに“質実剛健”といった印象を受ける。個人的にはもう少し遊び心があってもいいような気もするが、ビジネスモバイルPCにはそういった点は不要なのも事実なので、特に問題はないだろう。 本体サイズは、313×218×17.5mm(幅×奥行き×高さ)。NEXTREME Carbonではアスペクト比16:10の14型ディスプレイを採用していることを考えると、十分にコンパクトで、13.3型モバイルノートPCと比べてもほとんど同等のサイズ感だ。■ アスペクト比16:10の14型液晶を採用 軽さと優れた堅牢性と合わせ、NEXTREME Carbonの最大の特徴となるのがディスプレイだ。NEXTREME Carbonでは、アスペクト比16:10、1,920×1,200ドット表示対応の14型液晶を採用している。アスペクト比16:10の14型液晶を採用するのは、LAVIEシリーズ初だ。 フルHDと比べて縦の解像度が120ドット増えただけではあるが、それでもテキスト入力やExcelなどで少し使ってみただけでもフルHDと比較して作業効率が高まることを強く実感できる。 NEXTREME Carbonで採用されている液晶パネルの種類はIPS。パネル表面は非光沢処理となっており、外光の映り込みもほとんど気にならないため、文字入力が中心のビジネス用途でも快適な視認性を確保できる。また、視野角も十分に広く、視点を大きく移動させても明るさや発色の大きな変化はほぼ感じられなかった。 発色性能については、高色純度表示に対応、という言及はあるものの、具体的な指標は非公開となっている。実際に写真などを表示してみたが、クリエイター向けPCに搭載される発色性能に優れた液晶と比べると、ややおとなしめの発色という印象だ。それでも、ビジネス向けモバイルノートPCの液晶としては十分なクオリティで、プロレベルの発色性能を求めなければ不満は感じないだろう。そういった意味では、必要十分な表示性能を備えていると言える。 ところで、NEXTREME Carbonのディスプレイは左右だけでなく上下のベゼル幅も狭められた、4編狭額ベゼル仕様となっている。これまでのLAVIEシリーズでは、左右こそベゼル幅が狭められていても、上下にやや太めのベゼルが残されているモデルが多く、ディスプレイを開いた状態ではやや古くさい印象もあった。しかしNEXTREME Carbonではそういった印象は完全に払拭されている。 ベゼル幅を計測してみたところ、左右は5.43mm、上部は8.93mmだった。下部は計測が難しいこともあるが、ディスプレイを開いて正面から見た印象では、左右とほぼ同等の狭さとなっている。もちろん、このベゼル幅の狭さが筐体サイズの小型化に貢献しているのは言うまでもない。■ キーボードは進化しているが改善の余地もあり キーボードは、従来モデル同様にアイソレーションタイプの日本語キーボードを搭載している。それも、筐体の左右ギリギリの位置までキーを配置することで、主要キーはもちろん、Enterキー周辺も含めて全て約19mmフルピッチを確保。ストロークは約1.5mmと、しっかりとした深さを確保。クリック感は強めだが、それほど固くない打鍵感は、個人的にも好み。キートップにはわずか凹みが施され、指馴染みがよく、快適なタイピングが可能となっている点も嬉しい。 そして、従来のLAVIEシリーズでも特徴だった、打鍵音の静かさもしっかり受け継がれている。よほど強打しない限り打鍵音がうるさいと感じることはないため、静かな場所での利用も安心だ。 ところで、キートップの表記が従来から変更され、アルファベットが中央に大きく表示され、かなは右下に小さく表示されるようになった。ちょっとした変化ではあるが、見た目の印象が大きく変わり、洗練された印象を受ける。また、キーボードバックライトも搭載しており、暗い場所でのタイピングが快適になったのも大きなポイントだ。 もう1つの変更点が、ファンクションキー列だ。ファンクションキーとしての利用に加えて、メディアコントロールなどの機能を備える「ワンタッチアクションキー」としても利用可能となっているが、NEXTREME Carbonでは標準がワンタッチアクションキーとなっている。もちろん、標準をファンクションキーとして利用することも可能だ。 合わせて、ボタン配置も変更されており、左(F1)側にボリューム調節などの音声関連のボタンを配置し、明るさの調節やディスプレイ表示の切り替えなどは左側に置かれるようになっている。また、これまでなかったマイクのON/OFFボタンも新たに用意されている。 こういった変化は、コロナ禍によってテレワークやリモート会議の機会が増えたことに対応するためとのこと。つまり、よく使うようになったボリュームやマイク関連のボタンを左に置くことで、使いやすさを高めたというわけだ。 ボタン配置は、長く使っていれば慣れでカバーできる部分ではあるが、そういった中でも使いやすさを配慮しているのはありがたい。 ただ、キーボードで気になる部分も残されている。それはカーソルキーの位置だ。以前のLAVIEシリーズでは、カーソルキーはShiftキーから一段下がった場所に配置されていたが、数世代前より↑キーが右Shiftの横に配置されるようになった。そして、残念ながらNEXTREME Carbonにもそのまま受け継がれている。個人的に右Shiftを多用するということもあるが、やはりこの配置はイレギュラーであり、カーソルキーはShiftキーより下に配置してもらいたいと強く感じる。 ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを採用。面積は十分な広さがあり、ジェスチャー操作も可能だ。できれば独立したクリックボタンを用意してほしいところではあるが、操作性に大きな不満はない。 ただ、クリック操作時の音が、キーボードの打鍵音に比べてやや大きい印象。せっかくキーボードの静音性を高めているのだから、タッチパッドの静音性ももうすこい高めてもらいたいと感じる。 同様に、タッチパッドの搭載位置がキーボードのホームポジションから右にずれている点も気になる部分。デザイン的に筐体中心に配置しているためだが、利便性を考えるとキーボードのホームポジション中心に搭載するようにしてもらいたいと感じる。■ LTE対応ワイヤレスWANを標準搭載 今回試用したXC950/DAGは、NEXTREME Carbon最上位モデルで、仕様も冒頭で紹介したようにかなり充実したものとなっている。CPUはCore i7-1195G7、メモリは16GBと必要十分。タイミング的には第12世代Coreプロセッサを採用してもらいたかったようにも思うが、そうなると発売時期が春以降となる可能性が高く、そういった点で第11世代Coreプロセッサの採用になったものと考えられる。 仕様面では、標準でLTE対応ワイヤレスWANを搭載する点が大きな特徴だ。SIMロックフリー仕様で、nanoSIMだけでなくeSIMも利用可能となっているため、自由にSIMを選んで利用できるのは嬉しい。5G対応でも良かったかもしれないが、そちらは直販モデルで用意があるので、5G対応ワイヤレスWANを搭載したい場合には直販モデルを選択すればいいだろう。 また、テレワークに対応する機能を搭載する点も見逃せない部分。Webカメラは1080p対応の高画質カメラを採用するとともに、自動明暗補正や美肌補正機能も搭載。実際に試してみたところ、相手からはそれほど違いが感じられないという反応だった。これは筆者自身の被写体にも問題がありそうだが、少なくともHD解像度のWebカメラよりも鮮明に映るため、Web会議でも活躍してくれそうだ。 合わせて、周辺のノイズや環境音、キーボード打鍵音などを低減するノイズキャンセリング機能「YAMAHAミーティング機能」も用意。こちらもやや大きめの電車走行音を意図的に鳴らして試したところ、相手からは騒音が全く聞こえないという反応だった。 なお、YAMAHAミーティング機能が利用できるのは、Zoom、Microsoft Teams、Google Meet、Skypeのみとなっている。この4アプリのみの対応は少々残念なので、今後他のアプリでの対応も進めてもらいたい。 側面のインターフェイスは、左側面にThunderbolt 4(USB 4.0 Gen3x2)×2とmicroSDカードスロットを、右側面にオーディオジャック、USB 3.2 Gen2 Type-A、HDMIをそれぞれ用意。ビジネス向けということを考えると、有線LANがない点は残念だが、必要十分なインターフェイスは備わっている。 生体認証機能は、Windows Hello対応の顔認証カメラを標準搭載。この顔認証カメラはWebカメラとしても利用される。またカメラには物理シャッターのプライバシーシャッターも用意しており、不要な時はカメラを覆うことでプライバシーを守れるようになっている。なお、市販モデルのXC950/DAGでは指紋認証センサーは非搭載だが、直販モデルでは電源ボタン一体型の指紋認証センサーも搭載可能となっており、顔認証カメラとの同時搭載が実現できる。 合わせて、セキュリティアプリ「Glance by Mirametrix」も用意。Webカメラを利用してPC前の人を検知し、利用者が席を外すなどしていなくなると自動的に画面をオフにしたり、背後から誰かがのぞき込んでいる状態を検知して画面上にアラートを表示する、といった機能が利用できる。実際に試してみたが、離席時の画面オフは発動時間を短くすることで瞬時に画面がオフとなるため、便利に活用できそうだと感じた。 付属ACアダプタは、USB Type-C接続型のUSB PD準拠ACアダプタとなり、Thunderbolt 4に接続して利用する。出力は最大65W。サイズはそれほど大きくはないが、近年増えている小型USB PD対応ACアダプタと比べるとやや大きい。ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで実測223gだった。■ 性能面も申し分ないが、駆動時間はやや短い では、簡単にベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.1.2532」、「3DMark Professional Edition v2.22.7336」、Maxonの「CINEBENCH R23.200」の3種類だ。結果は下にまとめたとおりだ。 結果を見ると、モバイルノートPCのハイエンドモデルらしいスコアが得られている。ディスクリートGPUは非搭載なので、3DMarkの結果はそれなりだが、ビジネスモバイルPCとして考えるとこちらも申し分ないスコアで、全く不満を感じない。実際に利用しても、アプリケーション利用で重さを感じる場面はなかったが、このスコアからも申し分ない性能が実現されていることが確認できる。 ところで、XC950/DAGの内蔵SSDはPCIe 4.0対応の高速SSDとなっている。そこで、CrystalDiskMark 8.0.4を利用してアクセス速度を計測してみた。すると、シーケンシャルリードは6,731MB/s、シーケンシャルライトは4,676MB/sと、非常に高速な速度が確認できた。 ビジネスモバイルPCにこれだけ高速なSSDが必要かどうかは意見の分かれるところかもしれないが、高速SSDがPC利用時の様々な場面で快適度を高めることは間違いなく、この点も大きな魅力となりそうだ。 続いてバッテリ駆動時間だ。XC950/DAGは、公称で約24時間(JEITA測定法 Ver.2.0での数字)と非常に長い駆動時間となっている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%、キーボードバックライトをオフ、ワイヤレスWANをオフ、無線LANをオンに設定し、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測してみたところ、9時間26分を記録した。 公称の約24時間はJEITA測定法 Ver.2.0での数字とはいえ、その半分にも満たなかったのはかなり残念だ。確かにテスト時の設定はやや過酷なので、それで9時間26分ということは、1日の外出であれば十分バッテリは持つと思う。それでも、公称が約24時間ということなので、できれば12時間は駆動してほしかったように思う。■ 気になる部分もあるが、完成度は高く十分にお勧めできる ここまで見てきたように、XC950/DAGにはキーボードまわりやバッテリ駆動時間など、いくつか気になる部分があるのも事実だが、全体的には完成度はかなり高いと感じる。バッテリ駆動時間の短さは、高性能な軽量モバイルPCにとって宿命的な部分もあるが、USB PD対応のモバイルバッテリを用意するなど使い方でカバーすることは可能。なにより重量が軽いことが、その点を大きく補ってくれる。 そのうえで、アスペクト比16:10のディスプレイ採用による利便性や、軽いながら優れた堅牢性を確保している点は、モバイルPCとして大きな魅力。価格はそれなりに高いものの、価格に見合う満足度は十分に得られるはず。軽量かつ高性能、利便性に優れ、安心して持ち運び可能なビジネスモバイルノートPCを探している人にお勧めしたい。

PC Watch,平澤 寿康

最終更新:Impress Watch