無人トラクター4台を遠隔操作 世界初、数十キロ先から同時に

無人トラクター4台を遠隔操作 世界初、数十キロ先から同時に

管制室でモニターを見ながら遠隔操縦する(5日、北海道岩見沢市で)

 北海道大学や北海道岩見沢市など4者は5日、市内の管制室を拠点に数十キロ離れた複数の農地で計4台のトラクターを同時に無人走行させる実証実験をした。同大によると、走行時に近場での監視を必要としない「レベル3」農機を、遠隔監視の下で複数台同時に動かす実証は世界初。関係機関は、農業者が減る中でも作業を省力化しながら農地面積の維持などができる技術として期待する。 無人走行する農機は、同市内に設けた管制室内からモニター越しに監視・操作した。農地は管制室から約7キロ離れた岩見沢市と、約40キロ離れた札幌市の計3カ所。 農機は基本的に自動走行する。実演では、倉庫などから無人で出動して農地に入った。岩見沢市の農場では作業機がすき込み用のエン麦を刈り倒す作業をした。

無人トラクター4台を遠隔操作 世界初、数十キロ先から同時に

指示のタイムラグほぼなし

 通信環境は次世代の高速通信規格「5G」を活用する。農道移動時に自動操舵(そうだ)で使う全地球衛星測位システム(GNSS)などの電波が届きにくい場合は、管制室からの遠隔運転に切り替えた。 見学に訪れた岩見沢市の56ヘクタールで小麦や大豆などを栽培する道下一記さん(45)は「遠隔指示のタイムラグがほぼなく感心した。実用化に向けて実験を続けてほしい」と話した。 研究を主導する北海道大学の野口伸教授は「特に規模拡大が進む北海道などで人手不足になっても農家が営農をやめず、生産基盤を維持できるようにしたい」と見据えた。

日本農業新聞