「Beats Flex ー fragment designスペシャルエディション」 Apple公式サイトで販売開始
11/03/2022
史上最大の宇宙望遠鏡であるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は2021年のクリスマス、地球から100万マイル(約160万km)のかなたに向けて打ち上げられた。科学技術の粋を集めたこの望遠鏡は、22年の夏にはかつて誰も見たことのない宇宙の景色を次々と撮影し始めるだろう。
しかし、それまで米国をはじめ欧州やカナダで働く米航空宇宙局(NASA)の研究員たちは、激務を強いられることになる。この高性能かつ高価な望遠鏡に付属する機器類の準備を整え、極小の惑星から遠く離れた銀河星雲に至るすべてのデータを間違いなく収集できるようにするには、いくつものプロセスを経なければならないからだ。
「万事ほぼ予定通りに進んでいますが、今後6カ月は特に忙しくなりそうです。やるべきことが山ほどあるのですから」と、メリーランド州グリーンベルトにあるNASAのゴダード宇宙飛行センターでJWSTシニア・プロジェクト・サイエンティストを務めるジョン・マザーは言う。
とはいえ、最大の難所はすでに越えたと言っていいだろう。打ち上げは無事に完了し、それから約2週間かけて太陽や月、地球からの熱や光をさえぎる巨大なカイト型の太陽シールドがゆっくりと展開され、六角形のミラー18枚すべてが所定の場所に配置されたからだ。
「興奮を抑えきれません。最初の1カ月はハラハラし通しでしたが、幸いその後の展開は非常にスムーズでした」と、カリフォルニア州パサディナにあるNASAのジェット推進研究所(JPL)でJWSTの中赤外線機器(MIRI)担当プロジェクトマネジャーを務めるアナリン・シュナイダーは語る。
目指すは20年間の長期稼働打ち上げ後、JWSTは太陽と地球の重力がつり合う特殊な地点であるラグランジュ点(L2)を目指して飛行を続けた。ほかにも欧州宇宙機関(ESA)のプランク宇宙望遠鏡をはじめとするいくつかの宇宙船が、このラグランジュ点に向けて打ち上げられている。
重力に逆らいながら宇宙船をこの地点に固定しておくことは、まるでさかさまにしたボウルの上に丸い球を乗せてバランスをとるように難しい。JWSTが絶えずL2から離れてしまうので、数週間おきに少量の燃料を爆発させ、その勢いで元の位置に戻してやる必要があるのだ。
だが、NASAの科学者たちの巧みな操縦によって飛行中の消費を節約できたおかげで、燃料は十分に残っているとみられる。現在JWSTのチームは、この望遠鏡が当初計画されていた5年から10年のミッション期間よりもかなり長く、場合によっては先輩格のハッブル宇宙望遠鏡やスピッツァー宇宙望遠鏡に並ぶほど長期にわたり稼働してくれるのではないかと期待している。
「JWSTの寿命はおそらく20年ほどでしょう。すべてはこの不安定な“宇宙船”をいかに上手に操縦できるかにかかっています」と、マザーは言う。
いまやJWSTは、宇宙のかなたにある。このためマザーやシュナイダーをはじめとするチームのメンバーたちは、JPLの管理下にある国際的な巨大アンテナ群「ディープスペースネットワーク」を通じてJWSTと交信しなければならない。
コマンドを入力したプログラマーが宇宙船からの応答を待つ間、送られた信号は例えばカリフォルニア州のモハーヴェ砂漠やオーストラリア東部に設置されたアンテナを経由して伝えられることになる。そこには距離の長さによるわずかな遅れが生じるはずだ。