難聴者に福音を届ける 『骨伝導集音器Vibone Nezu(バイボーンネズ)』誕生ストーリー

難聴者に福音を届ける 『骨伝導集音器Vibone Nezu(バイボーンネズ)』誕生ストーリー

『誰もやらないのなら自分でやろう』 執念の骨伝導技術開発と商品化への道筋

難聴者にとどまらず、ろう者の方にも『音を感じた!』『もしかしてこれが言葉なの!?』と感動を与えている Vibone Nezu(バイボーンネズ)。

商品化に至る背景には、ソリッドソニック創業者取締役である田中哲廣氏による、粘り強い取り組みがありました。

今回はその物語をご紹介します

創業者の田中

骨伝導との出会い

時は2005年に遡る。

ソリッドソニック創業者の田中哲廣は、大手企業から依頼を受けるコピーライターとして活躍していた。ある日、骨伝導イヤホンを販売する外資系メーカーの仕事を受注したことがきっかけで『骨伝導』と出会う。メーカーの話を聞いていくうちに興味が増し、日本でこの商品を販売してみることにした。当時は、道交法の改正によって走行中の携帯電話の使用に対して罰則が強化されていた時期だ。想定以上に販売が進んだ。

しかし販売後、「外音の方が大きくて全然聞こえず、実用的ではない」との声によって、クレームが殺到した。この事態を収拾させるため、メーカー側との折衝に奔走したが、「これ以上の聞こえの改善は出来ない」という回答しか得られなかった。大変な経験をした。

ソリッドソニック設立

しかし、だからといって田中の『骨伝導』に対する熱が冷めることはなかった。この技術は大きな可能性を秘めている。誰もやらないのなら自分でやろう。そう考え、定年退職後の2008年にソリッドソニックを設立。骨伝導技術の研究を始めた。

骨伝導技術の研鑽

研究開始当初から田中は愕然とすることになる。まずは骨伝導の基礎知識を修得することを考え、日本中の大学を対象にこの分野の研究者を探したが、なかなか見つからない。振動に関する研究を進めている先生は居るが、皆、地震や再生エネルギーを視野に入れた大きな振動についての研究で、微細振動に関して専門的に研究を進めている先生は見当たらなかったのだ。それでも田中は地元関西圏の大学教授の伝手をたどって周辺情報の収集を進め、今後の研究開発の方向性を見出す。そのキーワードが『振動力学』『音響インピーダンス』『ピエゾ振動子』の3つだった。

田中は地道に研究を進めた。振動力学の観点から、振動を耳に効率よく伝えるためには振動部分を耳全体で

掴むことが重要だとわかった。そうすることで、音量も音質も格段に向上する。また、伝達効率を高めるために、部品をできる限り耳奥に設置する方式を発案し、振動量と小型化を両立させる部品の開発にも取り組んだ。研究開発には膨大な労力が必要だった。だが決して諦めることなく、休むことなく毎日コツコツと研究を続けた。こうして、骨伝導技術の鍵となる特許を取得していった。

 難聴者に福音を届ける 『骨伝導集音器Vibone Nezu(バイボーンネズ)』誕生ストーリー

片耳難聴の女学生との出会い

技術的な目途をつけた田中は、『骨伝導イヤホンVibone』の試作品を製作。その試作品を人々に試して頂くため、神戸芸術工科大学の先生とそのゼミの生徒達に手伝ってもらい、東京にアンテナショップをオープンした。

ある時、オープン準備の最中に1人の女学生が涙している。それを見た田中は「どうしたの?」と声をかけた。

すると、「私、実は片耳難聴なんです。でもこのViboneで音楽を聴いてみたら、生まれて初めて音が聞こえてそれが嬉しくて」と言われた。田中はこの時、片耳難聴の人の存在を初めて認識した。そして、こんなに喜んで貰えるならば、『難聴者も健聴者と同じように聴こえるユニバーサルデザインの骨伝導イヤホン』として世に出すことにしようと考えた。

イヤホン試作品

商品開発の方向性を決める

そう考えた田中は早速、商品化に向けてクラウドファンディングMakuakeで開発資金を募集。数多くの支援を得ることとなった。当初、商品はあくまでもイヤホンとし、スマホと接続することで難聴者は集音器としても使用できる構成を考えていた。しかし、クラウドファンディングで応援頂いた多くの人々から、「スマホで集音設定してイヤホンを使用することが難しい」との意見をもらった。「それならば、イヤホン機能と集音機能を一体化し、集音器として商品化しよう」と方針を定めた。

集音器の試作品

事業承継によって技術を次代へ

その後は商品化に向けて、さらに取組みを進めた。しかしその頃、田中は体調不良になることが増え、今後の事業展開に不安を感じるようになった。「気づけば自分も70歳を迎えている。この技術を誰かに引き継いで世のために役立てて欲しい。」そう考えた田中は、神戸市の仲介のもと、当時大手電機メーカーで勤務していた久保と出会い、第三者事業承継を実施。自身は技術取締役として残り、ものづくりに強い久保の力を得て商品化を進めた。そして2020年12月1日、ついにVibone Nezuが誕生したのだ。

左:後継者の久保 右:創業者の田中

聞こえにあきらめている方は、ぜひお試しを!

10年以上の長い時間をかけて辿り着いたVibone Nezuの商品化。「伝音性難聴にとどまらず感音性難聴の方も聞こえが改善した!」と多くの声が寄せられている。また、ろう者の方にも「音を始めて感じた!」という方が現れているのは特筆すべき内容だ。もちろん全ての人が聞こえるわけではないが、聞こえにあきらめている方は是非、試して頂きたい。

ソリッドソニック株式会社

E-mail:contact@solidsonic.co.jp

URL :https://solidsonic.co.jp

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