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11/03/2022
テレワークが定着しつつある中、その流れから取り残されがちなのが高性能なPCを使って作業するエンジニアやクリエイターたちだ。CADや動画編集ツールを使う業務はデスクトップPCやワークステーションなど、パフォーマンスの高いPCがあるオフィスから離れられなかった。
この状況を変えるべく、富士通が満を持して発売したモバイルワークステーションが「CELSIUS H5511」(以下、H5511)だ。最大の特長は、これまでの「ワークステーションは重くて持ち運べない」というイメージを拭い去る薄型で軽量なワークステーションである点だ。高度な処理能力を維持しつつも重量を約2kgに抑えたことで、かばんに入れて持ち運べるなど実用的なモデルに仕上げた。
PCの使用感にこだわりが強い欧州ユーザーの声も取り入れながら、業務で使うのにふさわしいモバイルワークステーションの完成にこぎ着けた。今回はH5511の開発背景を追いながら、ワークステーションを使いこなすパワーユーザーの理想的な働き方について富士通の描くビジョンを解き明かしていく。
H5511は15.6型のフルHDディスプレイを備え、インテルの第11世代Core™ プロセッサを搭載。CPUの性能など構成が異なる4種類を展開する。最上位の構成にはCPUにインテルの「Core™i7-1185G7」(4コア8スレッド、動作クロック3.0GHz/ターボブースト使用時最大4.8GHz)を採用しただけでなく、外部GPUとしてNVIDIAのT500(CUDAコア896基、グラフィックスメモリGDDR6 4GB、シェーダーモデル7.0)も搭載する。
強力な処理能力を備えながらも、ボディーサイズは363(幅)×249(奥行き)×20.8(高さ)mmで重さは約2kgと、オフィスの外に携帯可能なモバイルワークステーションだ。
コロナ禍の2022年に富士通がH5511を発売すれば、エンジニアなどパワーユーザーのテレワーク需要に応えられることは容易に想像できる。なぜなら、テレワークが推奨されたことでオフィスや研究開発現場への出社が難しくなり、自宅でも職場と同じ作業ができるモバイルワークステーションの需要が高まっているからだ。
H5511には、今やノートPCでは標準装備となったWebカメラを搭載。顧客とのWeb会議中にCADを使いながら説明するといった使い方も可能だ。
コロナ禍のテレワークニーズも当然あるが、それだけではないと富士通の志田新氏(CCD事業統括部 プロダクトマネジメント部)は説明する。パフォーマンス重視のデスクトップPCに相当する性能を備え、かつ持ち運び可能な製品が登場したことでモバイルワークステーション市場そのものが伸びているためだ。H5511もコロナ禍前から開発を進めており、市場投入とコロナ禍の需要が重なった。
これまでは作業に使っていたデスクトップ型のワークステーションを外部に持ち出して使うには、移動だけでも相当な労力が必要だったこともあり、ワークステーションの性能を必要とする業務は社内に縛られていた。
しかし現場からは作業環境の柔軟性を求める声が日増しに増えており、富士通もそうした要望を感じ取っていた。「今までは打ち合わせ先でCADデータに変更が発生しても、その修正を反映するためにはワークステーションがある作業現場に戻る必要がありました。こうした課題を解決するために現場が求めたのが、持ち運びを重視したモバイルワークステーションです。H5511は現場の働き方を変えられます」(志田氏)
H5511を使えば、マシンスペックが要求されるCADソフトを顧客のもとで操作しながらフィードバックをその場で反映して確認する、山奥の工事現場で急な変更があった際に臨機応変に対応する、出張先やサテライトオフィスで作業を片付けるといった使い方ができる。事業所に一度戻って検討するといったタイムロスを削れるため、ビジネスチャンスを逃さず自社の利益につなげることが可能だ。
エンジニアだけでなく、映像編集やCG制作といった作業をするクリエイターの利用も想定。出先で浮かんだアイデアを反映するための編集作業にどこでも対応できる。
こうしたH5511の高いパフォーマンスと機動力を実現するため、富士通は設計にこだわった。CPUの選択肢の1つであるCore™ i7-1185G7はモバイルノートPCへの搭載を想定したもので、TDP28ワットという省電力ながら高クロックによる高速な計算処理が可能。GPUにはモバイルワークステーション向けのエントリークラスであるNVIDIA® T500を採用した。処理能力は抑えているものの、シェーダーモデルは上位ワークステーション向けGPUと同様シェーダーモデル7.0に対応する。
「高性能なPCの薄型化や軽量化は、冷却の性能に大きな影響を及ぼします。特に欧州では冷却ファンの騒音を気にするユーザーが多いので、静音性にこだわりました」(志田氏)
処理能力の高いCPUやGPUは大量の発熱があるため、その熱をボディーの外に排出してCPUとGPUの温度を下げる必要がある。効率よく冷やすには強力なクーラーファンとヒートシンクが必要だが、筐体のサイズや重量も増えるためトレードオフの関係だ。
H5511では筐体を新しく設計するのに合わせて動作時の音を小さくしつつ、パフォーマンスを維持できるようバランスを取ったつくりにした。
「顧客価値と信頼性にこだわっています」――志田氏は開発コンセプトについてこう話す。顧客であるエンジニアやクリエイターの使いやすさにこだわって開発を進めた。
まず挙げたのが軽量化を進める過程で影響を受けやすいキーボードの打鍵感だ。筐体を薄くするとキーストロークを確保できなくなり、チープな打鍵感になりがちだ。しかし富士通では長年のノートPC開発で培った知見を生かして良好な打鍵感を追求した。
キーボードの開発時にはストロークの設定と押し下げたときの感触に注力した。フカフカと軽い打鍵感を避けるため、H5511ではキーボードに関わる箇所のボディーを強化して押し下げたときの感触を損なわないような工夫を施している。
次に志田氏が紹介したのは、ストレージの容量だ。クラウドストレージサービスが普及しているとはいえ、研究現場や開発現場では扱うデータのサイズや機密性からローカルストレージにデータを保存する需要は依然として大きい。さらにHDDより転送速度の早いSSDを求める声も多い。H5511では暗号化機能付きのSSDを2基まで搭載可能。ストレージ構成は最大で4TBまで増やせる。
複数のHDDを搭載したワークステーションでは、データを分散して保存することで書き込み速度を上げるRAIDを構築することが多かった。しかしH5511ではSSDを採用したことで読み込みと書き込み両方とも不満のないパフォーマンスを出せるようになったため、2基のSSDをそれぞれ独立したドライブとして設定している。
薄型でありながら充実しているインタフェースにも注目だ。USBはType-A(USB3.2 Gen1)を2基と、DisplayPort Alternate Modeに準拠して画像出力にも対応するType-C(Thunderbolt4と互換のUSB4 Gen3)を2基用意。3.5mmヘッドフォンジャックを搭載し、有線LAN用のRJ-45とHDMIポートも備える。
モバイルワークステーションを使うユーザーは大容量のデータを送受信するため、有線LANの装備は必須だった。有線LANポートは薄型化を阻害するインタフェースでもあるが、折りたたみ式のRJ-45を採用して省スペース化。充電用の入力コネクターもUSB Type-Cにするなど工夫している。
インタフェースが充実した背景には、法人向け機種のため顧客の要望に応えて従来のインタフェースを残している理由がある。インタフェースの配置と薄型化のバランスを見ながらギリギリを追求して実現したと志田氏は話す。
富士通初となる薄型で軽量なモバイルワークステーションとしてデビューしたH5511は、コンパクトな筐体の中にユーザーの利便性を考えた工夫が詰まっている。もちろん持ち運ぶことを想定した強靭なボディーや情報セキュリティ面についても、中身のデータを壊さず守るために注力していることは言うまでもない。
富士通はH5511を投入することで、エンジニアやクリエイターが場所の制約を受けることなく、必要なPCのパフォーマンスを手にして、どこでも活躍できる姿を将来像として描いている。そして今までにはなかったモバイルワークステーションの新しい活用法が生まれることにも期待している。
「H5511はモビリティとパフォーマンスのバランスを兼ね備えたワークステーションです。“ワークステーションを持ち歩く新しい時代”を多くのユーザーにぜひ体験していただきたいです」(志田氏)
CELSIUS H5511を持ち運ぶイメージ企業活動の生命線ともいえる研究開発や商品開発、設計といった業務は、取引先や外出先で作業ができれば突然の変更にも臨機応変に対応でき、新しいビジネスチャンスにつながる可能性がある。出社できない状況でも自宅で作業すれば、業務を停止する必要はない。しかし今までのワークステーションでは社外に持ち出すのは困難だ。
こうした課題を解決して、場所を選ばずエンジニアやクリエイターの力を最大限に発揮できる環境を整えたいと考えている読者は、ぜひ富士通のH5511を検討してみてはいかがだろうか。
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