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11/03/2022
土師野 幸徳(ニッポンドットコム)
新門司港から伊予灘の海域において、大型カーフェリーの無人運航実証が行われ、実用化に向けて大きく前進した。最新の自動操船システムや、プロジェクトを通して見えた海運や水上交通の未来、その課題についてリポートする。
岸壁に停泊する実証実験開始前のそれいゆ。旅客定員は268人
日本財団と三菱造船、新日本海フェリーは2022年1月17日、北九州市の新門司港から伊予灘までの往復240キロの海域で、大型カーフェリーの無人運航実証に成功した。使用した「それいゆ」号は全長222.5メートル、総トン数1万5515トン。200メートル超の大型船で自動離着岸、最速26ノット(時速約48キロ)の高速での自動操船は、世界初の試みだという。
自動操船システムを監視するMEGURI2040のメンバー
新日本海フェリーが所有するそれいゆは、建造段階から日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」に参加したスマートフェリーの新造船。自動航海システムの開発を三菱造船が統括し、自動操縦に必要な要件設定や実証実験の運航を新日本海フェリーが担当。2021年7月に横須賀-北九州(新門司)間で就航以来、無人運航に向けたデータを蓄積してきた。今回の主なテスト内容は、他の船舶や障害物を検出して接近・衝突を回避しながら運行する自動操船と、車の車庫入れに当たる、方向転換や後進を伴う自動離着岸の2つ。無人運航時は、自動操船システム「SUPER BRIDGE-X」が計画航路に沿って船を動かし、AIS(船舶自動識別装置)やレーダーに加え、物標画像解析システムの情報を解析して他船との衝突を回避する。船員による目視の代わりをする物標画像解析システムは、8台の赤外線カメラを使用。夜間でも高い検出能力を備える。約240キロ、5時間半の航路には、通常操業する漁船やタンカーが行き来していたが、十数隻を回避しながら自動操船の高速運航に成功。一度だけ手動に切り替えたが、三菱造船船舶技術部の森英雄主席技師は「システムは正常に稼働していた。相手船に対して少し不安を与える可能性がある航路を示したので、念のため船長が手動で回避した」と説明。こうした課題は、実証実験をして初めて生まれるもので、「これからもテストを重ね、課題を解決していきたい」と付け加える。
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