花江夏樹×梶裕貴×村瀬歩が語り合う、『グッバイ、ドン・グリーズ!』にあふれる好奇心と思春期の苦悩

花江夏樹×梶裕貴×村瀬歩が語り合う、『グッバイ、ドン・グリーズ!』にあふれる好奇心と思春期の苦悩

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花江夏樹、梶裕貴、村瀬歩の人気声優3人が、話題作に込めた思いを語る!

花江夏樹×梶裕貴×村瀬歩が語り合う、『グッバイ、ドン・グリーズ!』にあふれる好奇心と思春期の苦悩

国内外で高い評価を集めたテレビアニメ「宇宙よりも遠い場所」を手掛けたいしづかあつこ監督が、アニメスタジオMADHOUSEと再タッグを組んだオリジナル劇場アニメーション『グッバイ、ドン・グリーズ!』(2月18日公開)。田舎町に暮らす少年ロウマは、東京の高校へ進学し離ればなれになった親友のトトと高校1年の夏休みに再会。かつて2人だけで結成した"ドン・グリーズ"にドロップを加え遊んでいる最中、ドローンの操作を上手くできず見失ってしまう。3人はドローンを探し森の奥へ。それが人生を一変させる大冒険へと発展する。【画像を見る】花江夏樹が語る、少年時代の大冒険エピソードとは?「谷へ飛び降りて…」森のなかで思いがけない冒険をする"ドン・グリーズ"3人の声は、花江夏樹、梶裕貴、村瀬歩が演じている。3人のキャストはどんな気持ちで役と向き合っていったのか。多くの作品で少年役を経験しているからこその演技の厚みや、かつては同じ10代の少年だった彼らに、作品に込めた想いを語ってもらった。■「自分が子どものころ、確かに好奇心が優先だったよなと感じています」(花江)――まずは、演じられたキャラクターの印象を教えてください。花江「普通といえば普通なんですけど、明るくて友達となんでもない話で盛り上がれて、ちょっとのことで喜怒哀楽が出て…という少年の心を持っている。人のことを思ってあげられる優しい子だなと感じました」梶「トトは、まさに中高生らしい思春期の男の子。一緒にいるロウマに比べると、少し先に大人になり始めている部分があるのかなと感じています。医者の家系で、お姉ちゃんもいい学校に進んで、自分は一生懸命勉強を頑張ってはいるけれど、なかなか思うようにはうまくいかない。どうやらまだ、子どもの部分を捨て切れない、離れたくない思いがそこにはあるようです。こじらせた複雑な心境。そのなんとも言えないもどかしさが、この映画には詰まっていると思います。いろいろな表情を見せてくれる、演じていてとても楽しい役でしたね」村瀬「捉えどころがあるようでないというか。ものすごく芯があるようで、彼の本当のところはどこにあるのか、霞に包まれているようなキャラクターですね。少年のようで少女のような面もあり、男性っぽい感じの言い切りをしたと思ったら、急にたおやかさが出ていたりとか、彼の存在に対して観終わったあともなんだったんだろうと役者陣とも話したりして、そこを味わう楽しさがあるというか、一言では言い表せない難しいキャラクターでした」――共感された部分や印象的だった部分はありますか?花江「ロウマたちはところどころ、『それはダメだろう』ということをやるんです。好奇心を優先する部分があって、自分が子どもだったころは確かにそうだったよなと感じています。友情も大切に描かれていますが、身内から見れば"いい奴"なんですけど、知らない人が見た時には『なんだこいつ』と思うような部分もあり、そこがリアルでいいなと思いました」梶「ただにぎやかで楽しい!というだけでなく、冒険のなかでそれぞれの内面…心のなかで抱えている思春期ならではの鬱屈とした心情も繊細に描かれていくんですが、そのあたりにはものすごく共感できましたね。本当に三者三様、それぞれ違った角度の影を持っている。そのどれもが『わかるな』と僕は思いましたね。同時に、本当に絵に描いたような青春模様には憧れを感じました。親友同士で秘密基地を作ったり、周りには内緒のひと夏の大冒険だったり…。もう、最高ですよね(笑)!自分にはなかった青春だからこそ、輝いて見えました」村瀬「個人的にはトトにすごく共感しています。親からのプレッシャーの部分ですね。台本を読みながら、自分が中学生や高校生の時ってなにを考えていたんだっけと。なんだかんだ勉強はある程度しなきゃいけないとか、最低限のことはやっているなかで、たまに息苦しさとかも感じていて。でも、やっぱり親のことも無視できないし。自分はそこまで深く悩んでいたわけではないけど、こういうことはみんな大なり小なりあることなんだろうなと。トトがいま置かれている状況のつらさを吐露するシーンはとても印象に残っていて、言葉やアニメーションの力ってすごいと思いました」■「チボリの角度の違った考え方、世界の切り取り方は印象的」(梶)――印象に残っている、好きなセリフはなんですか?梶「3人の少年とはまた角度の違った考え方、というか世界の切り取り方をしているのが、チボリという同級生の女の子。そんな彼女が、写真は自分にしか見えていない一瞬を切り取って、共有することができることを語るセリフが印象的でしたね。人によっては同じものを見ても感じ方が違うだろうし。それが写真なら、撮影した人と見る人でも、また全然違うだろうし。家族や学校などのコミュニティに所属していると、そこでのルールが世界のすべてのように感じられてしまうもの。そんな『物事の考え方、捉え方というのは一つじゃないんだ』ということを悟り、教えてくれたチボリはすごいなと。普通自分では、ましてや子どもには、なかなか気づけないことですよね」花江「同じ写真の話になりますが、ドロップが『本当はチボリが赤を撮りたかったんじゃないか』と話すセリフがあるんです。それは自分にとっては失敗だったり、微妙だなと思っていても、別の捉え方ができるんだと気づかされたセリフでしたね」村瀬「僕はドロップの『間違ってばかりだよ』というセリフが好きです。彼らの年齢だと失敗しちゃいけない、レールの上を歩いていかないといけない生きづらさや閉塞感があるなかで『間違ってばかりだけどそれでいいじゃん』と。それをカラッとした感じで言うのが台本を読んでいる時から印象的で『間違ってもいいのか』と、素になってしまいました。いしづか監督はハッとさせるひと言を差し込んでいるなと感じます」■「友人と浜辺をわけもなく歩いたのが、なんかエモいなって(笑)」(村瀬)――最後に、お三方がこれまで体験した“冒険”エピソードを教えてください。花江「小学生のころ、なにかひとつ自分のなかで特技とかキャラ付けみたいなものとかが欲しいと思い、近所の公園の裏山にあった5、6mくらいくぼんでいた場所で『この谷へ飛び降りても大丈夫なキャラになろう』と思い、飛びました。下には落ち葉があり怪我もなく、みんなからは拍手をもらえましたが、家に帰ってからめっちゃ足が痛かった。いま考えると危ないですよね。あれは冒険だったな」梶「高校卒業の数日後、クラスの男友達と2人で、住んでいた沿線で一番の都会、池袋へ『自転車で行ってみようよ』と。電車で40分はかかる距離を、です(笑)。朝4時か5時に出て、おしゃべりをしながら、7時間ほどかけて。帰りは会話すらなく、黙々と5時間(笑)。その時はつらすぎて『なんでこんなことを…?』なんて思いましたが、いまとなっては学生時代らしいすてきな思い出になったと感じています」村瀬「4年ほど前に、仲がいい5人で北海道へ3泊4日の旅行をしました。しっかりとしたスケジュールは組まず『今日は小樽へ行く?』『動物見たいな』『じゃあ動物園へ行く?』という感じでレンタカーを走らせて。コテージに泊まったり、浜辺をみんなでわけもなく歩いたり、なんかエモいなって思いながら(笑)。基本的に外に出たがらない僕にとって大きな冒険でした」取材・文/小林治

最終更新:MOVIE WALKER PRESS

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